【アナタの知らない卓球の世界】現役生活に別れ、森さくら選手が不屈の闘志で刻んだ軌跡


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【アナタの知らない卓球の世界】現役生活に別れ、森さくら選手が不屈の闘志で刻んだ軌跡

静寂の中で放たれる鋭いドライブショット。
相手のミスを誘った瞬間、こぶしを強く握り締め、雄叫びを上げる。

そんな鮮烈な姿で多くのファンを魅了してきた森さくら選手が、ついに現役生活に幕を閉じます。
幼少期から天才少女として注目を集め、Tリーグでは最多勝を記録、数々の国際大会で日本の誇りを背負ってきた彼女。

今回は、闘志あふれるプレースタイルと試合ごとに進化を遂げてきた森選手の軌跡を振り返ってみたいと思います。


大阪府大阪市に生まれた森選手は、卓球一家に育ち、わずか3歳でラケットを握り始めました。両親と兄の影響を受け、父親を指導者に技術を磨き、2004年には全日本卓球選手権バンビの部で早くも頭角を現すようになります。その後、卓球名門校の青森山田中学・高校へ進学し、着実にキャリアを積み上げていきます。


全国にその名を轟かせたのは、2014年の全日本卓球選手権でした。準決勝で当時絶対的エースだった福原愛選手を破る金星を挙げ、決勝では石川佳純選手に惜敗したものの、その実力をいかんなくアピールしました。この活躍が評価され、翌年には世界選手権団体戦の日本代表に選出。国際舞台での経験を積み始めるようになります。

その後も、日本生命レッドエルフの中心選手として活躍し、2019-2020シーズンのTリーグでは驚異的な成績で最多勝を記録。

国内での安定した活躍を足がかりに、国際舞台でも2023年WTTフィーダー・ストックホルム優勝、2024年WTTコンテンダー・メンドーサではシングルス・ダブルスの2冠を達成しました。

そんな彼女ですが、近年ではかつて見せていたような闘志むき出しの激しいスタイルから、冷静沈着なプレーへと変わっています。2020年には「新しいチャレンジをしていきたい」と語るなど、自らの卓球観にも変化があったのかもしれません。そうしたこともあってか、今回28歳という脂の乗り切ったタイミングで、選手生活に一区切りをつける決断へと至った模様です。


ここで、筆者の心に残っている、森さくら選手のベストマッチをご紹介させていただきます。

彼女の真髄が凝縮された一戦として忘れられないのは、2020-2021シーズン12月25日に行われたリーグ戦での石川佳純選手との対戦です。

この試合は、一言で言えば、森さくら選手の魅力が詰まった戦いでした。その完璧なゲーム運びは、これまでの実力差を完全に覆すようなものでした。
第2ゲームでの驚異的な11-0のスコア、続く第3ゲーム(11-4)の圧巻のパフォーマンスは、まさに「新生・森さくら」誕生の瞬間を印象付け、彼女の進化と成長を象徴する名勝負だったように思います。


◇◇◇
その卓球人生を通じて常に挑戦と成長を続けてきた森さくら選手。
闘志と技術、そして優しさを兼ね備えた彼女のプレーは、永遠に卓球ファンの心に刻まれ続けることでしょう。


このままチームが3位フィニッシュを決めた場合には、プレーオフでの戦いが彼女を待っています。最高峰の戦いの場での最後の雄姿を、ぜひ目に焼き付けていきたいところです。


(文・富永陽介)

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