【ツギクルTリーガーの通信簿】新しい環境で心機一転、飛躍を目指す 出澤杏佳
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ノジマTリーグ2025-26シーズンは、中盤に入り、男女ともに上位チームと下位チームの差が徐々に大きくなってきました。下位チームにとっては、まさにここが正念場。最後まで諦めない姿勢を見せて上位チームに食らいつき、白熱したシーズンを作っていってほしいところです。
さて今回の通信簿は、環境を一新させて、新たな気持ちで卓球に取り組んでいる出澤杏佳(いでさわ・きょうか)選手にご登場いただきます。
出澤選手は今春専修大学を卒業しました。「就職先」に選んだのは、地元茨城県を本拠に活動しているレゾナック。練習環境の充実に加え、中学時代にレゾナック主催の練習会に参加した縁、そして何より地元への恩返しをしたいという思いが、進路選択の理由となりました。
この選択は今のところ吉と出ています。入社早々の4月に行われた第34回日本卓球リーグ選手権・ビッグトーナメントで、シングルスと、出雲美空選手(京都カグヤライズ)とのペアによるダブルスを制し、見事に二冠を達成したのです。社会人として第一歩を踏み出した直後の大一番で、最高の結果を残し、実力が上がってきていることに加え、勝ち運も持ち合わせていることを示しました。また、この勝利はレゾナックというチーム全体に勢いを与えたようで、レゾナックは前期日本卓球リーグ優勝に輝きました。
出澤選手の昨季までのTリーグ6シーズン通算成績は、シングルス18勝44敗、ダブルス7勝14敗と残念ながら大きく負け越しています。チームの主力として、数多くの試合には出場したものの、主力という立場ゆえに各チームの強豪選手との対戦が多くなり、苦闘が続いた結果の負け越しでした。数字だけ見れば「寂しい」の一言なのですが、強者揃いのTリーグで揉まれたことは確実に出澤選手の血肉となっているようです。
2023年の全日本学生選抜卓球選手権大会シングルス優勝、2023・24年の全日本大学総合卓球選手権大会シングルス2連覇、2024年WTTフィーダー ビラ・ノバ・デ・ガイアシングルス優勝と目覚ましい成績を挙げています。また、専修大学での最終学年となった2024年度には、卓球部主将として関東学生卓球リーグ戦春秋連覇、インカレ準優勝などチームを好成績に導いています。今年に入っても快進撃は続き、前述のビックトーナメント二冠に加え、9月に行われたWTTフィーダー・イスタンブールシングルスでも優勝を果たし、世界ランクも過去最高の65位まで上昇させました。
そんな出澤選手は今季、Tリーグでの環境を一変させました。昨季まで4シーズン所属した九州アスティーダ(現九州カリーナ)を離れ、Tリーグデビューから2シーズンを過ごした古巣、トップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)に移籍したのです。TOP名古屋としては、個人としての活躍もさることながら、勝利のために必要なチームとしての一体感を醸成できるキャプテンシーに着目しての獲得とみられていて、昨季、あと一歩のところで惜しくもプレーオフ進出を逃したチームに「あと一歩」を加える存在として期待がかかります。
10月15日現在の戦績はシングルスのみ2試合の出場で1勝1敗、チームも4つ負け越しの5位と、まだじゅうぶんに期待に応えているとは言えない状態ですが、日々進化を続けてきた出澤選手の成長曲線が、Tリーグのトップレベルに達する日はそう遠いことではないでしょう。出澤選手の今後の活躍には要注目です。
出澤杏佳(いでさわ・きょうか)
2002年6月28日茨城県生まれ。大成女子高を経て専修大学卒業。今春よりレゾナックに入社。2023、24年全日本大学総合卓球大会シングルス2連覇。2025年ビッグトーナメントシングルス、ダブルス優勝。2019-20シーズンにTOP名古屋入団し、4シーズンの九州アスティーダ所属を経て今シーズンからTOP名古屋に復帰。戦型は右シェーク異質攻撃型というユニークなものだが、近年はラバーの特性に頼らない強打を武器としている。
(文・江良与一)










