【ツギクルTリーガーの通信簿】心身ともに上り調子 坂井雄飛
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1月21日から、いよいよ2週間にわたる全日本卓球選手権大会が始まります。自分の推しプレーヤーに注目するもよし、新星の出現を期待するもよし、日本一を決める大会を存分に楽しみましょう。これに伴い、ノジマTリーグ2024-25シーズンは2週間ほどお休みです。こちらも再開後の熾烈な順位争いを期待しましょう。
さて、今回の通信簿は現在最下位に沈む静岡ジェード(以下静岡J)所属選手の中で一番若い現役高校生Tリーガー、坂井雄飛(さかい・ゆうひ)選手の現在地について取り上げます。
2023-24シーズンにTリーグに参戦した坂井選手は、シングルスのみ7試合に出場し、2勝5敗とホロ苦い成績に終わりました。ただし、ルーキーにもかかわらずヴィクトリーマッチの出場選手に選出されるなど、大きな期待も寄せられていました。
参入2年目となった今シーズン、主力選手としての活躍を期待されての船出でしたが、残念ながらいきなり4連敗を喫してしまいます(出場はシングルスのみ)。ようやく今シーズンの初勝利を挙げたのは2024年12月15日の琉球アスティーダ戦。ベテランの吉村真晴選手相手に3-2のフルゲームの熱戦の末、勝利しました。1ヶ月前の対戦ではゲームカウント2-3で敗れていた相手に、きっちりリベンジを果たせたことは、坂井選手の着実な進歩を示すことにはなりましたが、出場試合数、勝利数ともに物足りません。静岡J低迷の原因の一つは、坂井選手の成績が伸びないことだと言っても過言ではありません。
Tリーグ以外の場では、進歩のほどをきっちりと成績に反映させています。2024年1月の全日本卓球選手権大会ジュニアの部男子シングルスでは3位入賞。6月に行われたアジアユース卓球選手権大会U19男子シングルスで準優勝。7月に行われたWTTユースコンテンダー・香港ではU19男子シングルスで優勝。主将として愛工大名電高校を率いて参加した、8月のインターハイでは、シングルスこそ前年の3位を上回ることができず、ベスト8止まりでしたが、ダブルスと団体戦で栄冠をつかみました。11月に行われたITTF世界ユース選手権U19男子シングルスでは3位入賞。年間を通じて、「次世代の日本」を代表する選手に相応しい堂々たる成績を残しました。
坂井選手の戦型はオーソドックスな左シェークドライブ型で、正確にコントロールされた強力なドライブをミスなく放ち続けられることが特徴です。また、強打一辺倒ではなく、的確な状況判断で相手の意表を突くコースにドライブを放ったり、緩急をつけて相手に思い通りのショットを打たせない老獪さも身につけています。前回の「ツギクルTリーガー」では、技術的にはすでに日本を代表するレベルにありながら、強気に攻めるべき場面で慎重に行きすぎて失敗するというような、精神的な弱さがあるためになかなかトップ選手になりきれていない選手であると紹介しましたが、国内外で厳しい試合を数多く経験し、その中で勝利した、という経験を積むことにより、この課題も解消されつつあるようです。
11月のITTF世界ユース選手権での好成績、12月のTリーグでの今シーズン初勝利と、心身ともに上り調子の中で迎える坂井選手が、来たる全日本卓球選手権大会でどのような活躍を見せるのか、大いに期待したいですね。
坂井雄飛(さかい・ゆうひ)
2006年9月19日沖縄県生まれ。小学校時代に岡山県に移住し、TCマルカワで本格的に競技生活を開始。愛工大名電中を経て、現在愛工大名電高在学中。2024全日本卓球大会ジュニアの部男子シングルス3位、WTTユースコンテンダー・香港U19男子シングルスで優勝。戦型は左シェークドライブ型で、緩急をつけた返球で相手からチャンスボールを引き出し、強力で正確なドライブで得点するのが特徴。
(文・江良与一)