【ツギクルTリーガーの通信簿】一歩一歩着実に成長中 谷垣佑真
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全日本卓球選手権大会ダブルスの部、男子は岩井田駿斗・中野琥珀の野田学園中学ペア(岩井田選手は琉球アスティーダにも所属)が快進撃をみせ、決勝まで勝ち進みましたが、最後は飯村悠太・木方圭介組(ともにT.T彩たま)が優勝。女子は笹尾明日香・麻生麗名ペア(ともに日本生命レッドエルフ)、混合は木造勇人(T.T彩たま)・安藤みなみペア(トップおとめピンポンズ名古屋)と、3種目全てでTリーガー同士のペアが優勝し、プロリーガーとしての面目を施す結果となりました。飯村、木方、木造の3選手の活躍で、シーズン最終盤に向けての「勢い」が生まれたであろうT.T彩たまの戦いぶりには、特に注目したいところです。
さて今回の通信簿は、シングルスの部で3位入賞を果たした、岡山リベッツ(以下岡山R)の谷垣佑真(たにがき・ゆうま)選手についてご紹介いたします。
2003年6月に兵庫県で誕生した谷垣選手は、地元の名門華兵ロードスカイで卓球を開始すると、数々の全国大会で優れた成績を残し、全国の俊英が集まる愛知の愛工大名電中学に進学します。ここでの修練の日々は谷垣選手の才能を開花させ、2018年の全国中学校卓球大会男子シングルス優勝という結果をもたらしました。高校はそのままエスカレーターで愛工大名電高校に進学。3年時の2021年には、インターハイでシングルス、ダブルス、学校対抗の3冠を制しました。
そして勢いそのままに、岡山Rに入団し、現役高校生Tリーガーとしてデビューを果たします。しかし、いかにインターハイ3冠王者といえど、簡単には通用しないのがTリーグ。昨季までの3シーズンの通算成績は、シングルス4勝8敗、ダブルスは1試合のみの出場で未勝利と、勝利はおろか、出場機会にすらなかなか恵まれない状態でした。2024-25シーズンも出場はシングルス2試合のみで1勝1敗と、悲願の初優勝を目指し、戦うチームの中では戦力になっているとは言い難い状態です。
ただし、谷垣選手が進化しつつあるというのは事実です。2023-24シーズンは、シングルス4試合のみの出場ながら3勝1敗と勝ち越しました。現在所属している愛知工業大学では2023年、2024年の同学のインカレ連覇の中心選手として活躍しています。また2024年の全日本卓球選手権大会では、愛工大のチームメイト今枝愛美選手(九州アスティーダ)とペアを組んで出場した混合ダブルスで準優勝しました。
そして、2025年の同大会男子シングルスでは3位入賞を果たしました。5回戦で優勝候補の一角、戸上隼輔選手をフルゲームの激戦の末下し、準々決勝では愛工大名電中・高のチームメイトで、現在琉球アスティーダ(以下琉球A)でTリーガーとして活躍している岡野俊介選手を撃破。準決勝では、愛工大のチームメイトでもある篠塚大登選手(琉球A)に惜敗しましたが、堂々たる戦いぶりで、近い将来に日本を代表する選手へと脱皮することを予感させました。
谷垣選手の戦型は右シェークドライブ型で、バックハンドからの多彩なショットを武器とし、多くの場面でバックからのショットが決め球となります。フォアも決して苦手というわけではないようですが、バックからのショットに比べると「決め球」としてはやや弱いようです。今後の飛躍の鍵は、フォア、バックともに威力に遜色のないショットを放ち続けられるような技術の向上にあると考えられます。
現在3位の岡山Rですが、逆転優勝の可能性はじゅうぶんにあります。進境著しい谷垣選手がレギュラーに定着し、勝利し続けることこそが逆転優勝への必要条件となります。シーズン再開後の谷垣選手の戦いぶりに注目しましょう。
谷垣佑真(たにがき・ゆうま)
2003年6月3日兵庫県生まれ。愛工大名電中・高を経て現在愛知工業大学在学中。2024年全日本卓球選手権大会混合ダブルス準優勝、2025年同大会男子シングルス3位入賞。2021-22シーズンより岡山Rに入団し、Tリーグに参入。戦型は右シェークドライブ型でバックからの多彩で強烈なショットが決め球となることが多い。
(文・江良与一)