【ツギクルTリーガー】卓球一家の長男が、満を持して第一線に躍り出る 木方圭介
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全日本卓球選手権大会男子ダブルスの部は中学生旋風が吹き荒れました。野田学園中の岩井田駿斗(九州アスティーダ)・中野琥珀ペアが、準決勝で、社会人No.1ペアの西康洋・川上尚也組を破る大金星を挙げ、大会史上初めて決勝にまで勝ち進んだのです。しかし、そこに立ち塞がったのが、今回紹介する木方圭介・飯村悠太のT.T彩たまペア。野田学園中学のOBでもある木方・飯村ペアは、勢いに乗る現役中学生ペアに第1ゲームこそ奪われたものの、第2ゲーム以降は危なげない試合運びを見せ、ゲームカウント3-1で勝利し、先輩としての貫禄を示したかたちとなりました。
では、木方選手についてそのルーツを探っていきましょう。木方選手は2005年の10月に東京都で誕生しました。お父さんの慎之介さんは、2002年の全日本卓球選手権大会で準優勝したほどの一流の卓球選手でした。また、お母さんの如美さんも大学や実業団で活躍した卓球選手でした。
そんな夫婦の長男坊として誕生した木方選手は、乳児の時代から卓球場で過ごしており、「気がついたら卓球場にいた」ところから、彼の卓球人生はまさに始めるべくして始まりました。
なお、木方家は男子3人、女子1人の四人兄弟。長男の圭介さんをはじめ、次男・蒼介さん、三男・瑛介さんも各ステージで全国レベルの卓球選手で、末っ子の長女・菜々美さんも、2022年の全日本卓球選手権大会バンビの部女子シングルスで優勝を飾るという、日本でも屈指の卓球一家です。
小学校時代から数々の大会で好成績を収めていた木方選手は、山口県の強豪・野田学園中学に進学し、親元を離れての修練の日々に入ります。全国から集まる野田学園での卓球生活で、木方選手は着実に実力を身につけていきますが、持ち上がりで進学した野田学園高校1年時にはスランプに陥り、試合出場もままならないというどん底状態を経験します。
ここで、団体戦でのダブルスを経験し、ダブルスのペアを組む選手にも、団体戦のチームのメンバーにも迷惑をかけないために、自分が頑張らなければならないという自覚が芽生えます。自らの責任を強く意識しながら練習に励み、試合にも出場したことで、スランプを脱し1ランク上の選手へと成長しました。高校2年時の2022年には、1学年上の徳田幹太選手(金沢ポート)とペアを組んだダブルスでインターハイ準優勝、学校対抗でも主力選手として活躍し、野田学園高校を準優勝に導きました。
スランプを脱し、世代のトップ選手の1人に数えられるようになった木方選手は、高校卒業後、関東の強豪・明治大学に進学。入団初年度からレギュラー選手として活躍しています。特に、野田学園中・高の先輩である飯村悠太選手とペアを組むダブルスは、明治大学の快進撃を支えています。この二人は、野田学園中学時代にペアでの実戦経験があるそうですが、その時は「なんとなく」組んだだけで1年で解消してしまったそうです。しかし、現在では息のピッタリあったペアとなり、今回の全日本卓球選手権大会ではノーシードからの優勝という栄冠を手にしました。準決勝で、昨年優勝の小林広夢(T.T彩たま)・伊藤礼博の日大ペアを破っての堂々の優勝です。
また、大会に先立ち、二人揃ってT.T彩たまに入団し、早くもダブルスに出場しています。残念ながらその試合には敗れてしまい、二人とも出場選手登録から外れてしまいましたが、T.T彩たま悲願の初優勝に向け、シーズン最終盤の「秘密兵器」として再登場してくる可能性はじゅうぶんにあります。
木方・飯村ペアの特色は、サウスポーの木方選手が、変化の鋭いショットで相手からチャンスボールを引き出し、飯村選手がフォアの強打で決めるというもの。この必殺パターンが数多く観られるようになれば、ペアとしての勝利が伸び、ひいてはT.T彩たまの勝利を呼ぶことになるでしょう。再登録される日が待ち遠しいですね。
木方圭介(きほう・けいすけ)
2005年10月18日東京都生まれ。ともに卓球選手だった父慎之介さん、母如美さんの影響で、物心ついた時には卓球を始めていた。弟の蒼介さん、瑛介さん、妹菜々美さんも卓球選手という卓球一家。野田学園中・高を経て現在明治大学在学中。戦型は左シェークドライブ型で、バックハンドからの変化に富んだショットが特徴。
(文・江良与一)