【ツギクルTリーガーの通信簿】チームの大黒柱として奮戦中 出雲美空
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2月9日まで行われていた2025シンガポールスマッシュ混合ダブルスで、松島輝空(木下マイスター東京)・張本美和(木下アビエル神奈川)組が準優勝という結果を残しました。二人ともまだ10代の伸び盛りですので、今後このペアがどこまで強くなるのか、大いに楽しみにしたいですね。
そして2月8日からはTリーグも再開されました。終盤に向け、より一層の熱戦を期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、京都カグヤライズ(以下京都K)の大黒柱として、シングルス、ダブルス問わず奮戦中の、出雲美空(いずも・みくう)選手の現在位置について紹介いたします。
出雲選手は、現在2度目のTリーグ参戦中で、石川県の遊学館高校在学中の2019-20シーズンに1度目の参戦を果たしました。2019年のインターハイ女子シングルス優勝の勢いを買われ、日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)に招かれると、早速試合に起用されるようになりましたが、インターハイチャンピオンという肩書だけでは勝負できないのがTリーグ。シングルス2戦2勝、ダブルス1勝5敗と、大いに物足りない成績に終わり、このシーズン限りで無念のTリーグ撤退となりました。
この挫折を挫折のままで終わらせなかったことが現在の出雲選手につながっています。実業団チームでの競技生活を選択し、そこでの修練で着実に力をつけていきました。特に、2チーム目の所属となったサンリツでは、2022年の日本卓球リーグでチームを前・後期連続で優勝に導き、自身は後期の最高殊勲選手に輝きました。2023年1月の全日本卓球選手権大会女子シングルスでもベスト8に進出、卓球ファンから大きな注目を浴びることとなりました。そして、2023-24シーズンから京都Kに入団し、2度目のTリーグ参入を果たしました。
京都Kでは、入団早々から主力選手としての抜擢を受け、シングルス12試合、ダブルス2試合に出場しましたが、残念ながらシングルスは4勝8敗、ダブルスは未勝利に終わりました。主力選手であるが故に、相手チームのエース級の選手と対戦することが多く、勝利という結果が伴わないままに終わってしまったようです。チームも残念ながら最下位に沈みました。
今シーズンも厳しい戦いが続いています。現時点でシングルス15試合、ダブルス9試合と「チームの顔」として最多出場を果たしていますが、シングルスは4勝11敗、ダブルスは1勝8敗と大きく負け越してしまっています。チームとしても今シーズンはまだ1勝しか挙げられておらず、このままではチーム発足以降最悪のシーズンとなってしまいそうな気配が漂っています。チームの雰囲気を変え、勢いづかせるためには何より勝利が必要であり、その勝利をチームで一番求められるのが、エースと目される出雲選手なのです。厳しい戦いが続きますが、この逆境は出雲選手自身でしか打破できません。
出雲選手の戦型は左シェーク異質攻撃型で、バックハンドではコースを狙って相手を翻弄し、フォアハンドでは強打を連発するのが特徴です。変化の鋭い巻き込みサーブも得意で、サービスエースを奪う場面も少なくありません。選手紹介の写真では晴れやかな、可愛らしい笑顔を見せていますが、試合にはポーカーフェースで臨み、得点を奪っても声を出すことすら滅多にありません。出雲選手が弾けるような笑顔を見せるのは勝利の瞬間だけでしょう。出雲選手の笑顔が数多く見られることに期待して応援していきましょう。
出雲美空(いずも・みくう)
2001年7月10日石川県生まれ。曙川中学校を経て遊学館高校卒業。兄・卓斗さんも実業団チームに属する卓球選手。2021年インターハイ女子シングルス優勝。2023年全日本卓球選手権大会女子シングルスベスト8。2019-20シーズンにニッペMに入団するもこのシーズン限りで退団。2023-24シーズンより京都K所属。戦型は左シェーク異質攻撃型で、コントロールの効いたバックと威力あるフォアのコンビネーション、変化の鋭い巻き込みサーブが武器。
(文・江良与一)