【ツギクルTリーガーの通信簿】ロス五輪でのリベンジを虎視眈々と狙う 篠塚大登
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ノジマTリーグ2024-25シーズンは第3節を終え、男子は昨シーズンの覇者、木下マイスター東京(以下KM東京)が3連勝と上々の滑り出しを見せた一方で、女子は九州アスティーダ、京都カグヤライズがともに2連敗と苦しい船出となりました。まだまだシーズンは始まったばかりですから、出だしでつまずいたチームにも挽回の余地は十分にあります。シーズン終盤まで目の離せない試合が続くことを期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、王者KM東京から、その最大のライバル琉球アスティーダ(以下琉球A)へと移籍した篠塚大登(しのづか・ひろと)選手にスポットを当てます。
篠塚選手の直近の最大のトピックスは、なんといっても男子団体戦の一員として、パリオリンピックという舞台で戦ったことでしょう。男子団体は惜しくも4位に終わり、前回の東京オリンピックに続いての銅メダル獲得とはなりませんでしたが、篠塚選手は、張本智和、戸上隼輔の両選手を凌ぐ活躍を見せました。サウスポーであるということを買われ、右利きの戸上選手とペアを組んだダブルスでは4戦して3勝1敗の堂々たる成績を挙げ、日本の準決勝進出に大きく貢献しました。一方でシングルスは1勝2敗と不本意な成績に終わりました。特に、フランスとの3位決定戦のラストマッチは篠塚選手本人にとっても日本代表にとっても本当に痛い敗戦となりました。篠塚選手が日本代表の「第3の男」の座をつかんだ最後の決め手は、今年1月の全日本卓球選手権男子シングルスで最大のライバルであった松島輝空選手(KM東京)との直接対決を制したこと。フランス戦ではその勝負強さの発揮が期待されましたが、各ゲームともに競った展開には持ち込んだものの、あと一歩及ばず。篠塚選手はこの敗戦について、「試合のことを思い出すたびに悔しくて苦しい気持ちになります。この経験は忘れたくても忘れられないと思います」と、そのショックの大きさを語りました。
しかし、次の言葉は「今までにない苦しさをここで味わったので、必ずこれを生かしていかなければならないと思っています。練習が再開する時には、自分は変わるんだという気持ちを持って、新たなスタートを切りたいと思います」というもので、早くも次の目標に向けての決意を表明しています。ちょうど、今シーズンからは所属するチームも変わり、気分を一新して次の戦いに臨む環境は整っていました。昨シーズンはシングルス10勝5敗、ダブルス9勝2敗の成績でKM東京の制覇に大いなる貢献を果たしました。そもそもの実力が高い選手が、心中期するものを持って努力しているのですから、進化しないはずがありません。琉球AはKM東京との直接対決で敗れ、一歩遅れを取っていますが、篠塚選手はシングルスで3戦して3連勝、ダブルスは3戦して2勝1敗と好調です。特にシングルスの好調さが目立っています。次回のロサンゼルスオリンピックでは団体戦の雪辱を果たすとともに、男子シングルスの代表の座もつかむ、という強い意思が感じられる結果を残しています。4年後の篠塚選手がどのような姿になっているのか、今から楽しみではありますが、その前に、パリオリンピックでの悔しさを、今シーズンのTリーグでどのように昇華させていくのかに注目していきましょう。特に、オリンピック出場の最大のライバルである松島輝空選手との直接対決は見逃すことはできません。歴史に残る名勝負になる可能性を秘めています。
篠塚大登(しのづか・ひろと)
2003年12月23日愛知県生まれ。愛工大名電中学、高校を経て現在愛知工業大学在学中。2020-21シーズンにT.T彩たまに入団。2022-23シーズンにKM東京に移籍し、今シーズンからは琉球Aに所属する。戦型は左シェークドライブ型で、細かなテクニックも強烈なドライブの連打もできる天才肌の選手と評されている。
(文・江良与一)