【ツギクルTリーガーの通信簿】「黄金世代」のトップ目指して奮戦は続く 野村萌


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【ツギクルTリーガーの通信簿】「黄金世代」のトップ目指して奮戦は続く 野村萌


ノジマTリーグ2024-25シーズンは1週間の中断を挟んで今週末から再開されます。リフレッシュした選手たちが、より熱い戦いを繰り広げてくれることを期待して、今週末を待つことといたしましょう。


さて、今回の通信簿は、九州アスティーダ(以下九州A)の主力選手として苦闘を続けている野村萌(のむら・もえ)選手にご登場いただきます。

九州Aの2023-24シーズンは、首位木下アビエル神奈川(以下KA神奈川)には勝ち点差42と大きく水を開けられての5位と、残念な結果となりました。野村選手個人としても、シングルス4勝10敗、ダブルスは4戦して全敗と、不本意な結果に終わりました。地元九州のファンの期待に十分に応えたとは言い難い成績に終わった昨シーズンから、躍進を遂げるべく臨んだ今シーズンも開幕2連敗と苦しい船出となっています。野村選手個人としてもシングルス2試合に出場して未勝利と、多難な前途が予想されます。

しかし、明るい材料も数々あります。野村選手は九州Aに所属する傍ら、実業団チームのデンソーポラリスにも所属しており、そこではキャプテンも務めています。2023年の全日本卓球選手権大会女子団体の部ではデンソーポラリスは見事に優勝を果たしました。野村選手は決勝までの5試合の全てに一番手で出場。勝敗こそ2勝3敗とやや残念な結果でしたが、キャプテン自らが文字通り先頭に立って戦い、味方を鼓舞し続けたことが、後に続く選手たちに勇気を与え、優勝につながりました。また、試合が2勝2敗ともつれた場合は、最後に登場する5番手としての役割も担っていました。結局5番手としての出場はありませんでしたが、チームの中での信頼度の高さを物語るオーダーでした。さらに、WTTフィーダーパナギュリシテ2023では3位に入賞し、世界の一流レベルに一歩近づく確かな足跡を残しました。

同年には、第32回日本卓球リーグ選手権・ビッグトーナメントにおいて、デンソーポラリスのチームメイトでもある野村光選手との「姉妹対決」が実現しました。普段は姉萌選手は同じ合宿所内に住む光選手の部屋に入り浸っているほど仲の良い姉妹ですが、勝負となれば話は別。ゲームカウント3-1で姉萌選手が貫禄勝ちし「姉の意地」を見せつけました。

野村選手の戦型は右シェーク異質攻撃型で、フォア、バック双方で強烈な攻撃を仕掛けていきます。特にバックハンドからのショットは多彩で、決め球になることも多い上、相手からチャンスボールを引き出す場面も多々見られます。また、試合の展開を全て再現できるほどの記憶力も大きな武器で、昨シーズンも、シーズン序盤で敗れた佐藤瞳選手(日本ペイントマレッツ)、枝廣愛選手(京都カグヤライズ)に対しては、敗戦の記憶を辿って、しっかりと対策を講じ、シーズン後半の対戦ではきっちりリベンジを果たしています。

パリオリンピックの選考に際してはランキング外に沈み、黄金世代の選手に大きく遅れをとってしまった上、張本美和選手(KA神奈川)を筆頭に、下の世代からの強力な突き上げもあり、野村選手を取り巻く環境は非常に厳しいですが、潜在能力の高さや、優れたリーダーシップなど、野村選手には大きな可能性が感じられます。まずは九州Aの苦境を救う活躍を期待して応援していきましょう。


野村萌(のむら・もえ)
2001年3月11日愛知県生まれ。3歳年下の妹光さんもデンソーポラリス所属の卓球選手。刈谷南中を経て、愛知みずほ大学瑞穂高校卒業。2018-19シーズンにトップおとめピンポンズ名古屋に入団しTリーグに参戦するもこのシーズン限りで退団。2022-23シーズンより九州Aに所属しTリーグ復帰。戦型は右シェーク異質攻撃型でバックハンドから繰り出される多彩なショットが武器。


(文・江良与一)

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