【ツギクルTリーガー】ビッグトーナメント優勝を引っさげてTリーグに参戦 菅澤柚花里
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今回は4月に行われた、実業団チーム所属選手による全国大会、ビッグトーナメントの女子シングルスで堂々の優勝を飾った菅澤柚花里(すがさわ・ゆかり)選手を紹介いたします。
菅澤選手は2003年9月に神奈川県で誕生しました。両親ともに卓球選手で、二つ歳上の姉も幼少期から卓球をしていたという卓球一家に生まれた菅澤選手は5歳の頃からラケットを握りました。ちょうどその頃、菅澤家は引っ越しをしたのですが、大工であった菅澤選手の祖父が新居に卓球場を作ってくれたそうで、幼稚園から帰るとすぐ、姉と共に卓球の練習に励むという毎日が始まりました。その環境下でメキメキと力をつけていった菅澤選手は地域の小学生が参加する卓球大会に出場し、決勝で姉に勝って優勝を果たします(姉は泣いてしまって途中棄権)。この経験が菅澤選手のその後の人生に大きく影響することとなりました。
小学生時代は地元の酒匂卓球キッズで腕を磨き、2016年のITTFプレミアムジュニアサーキットイタリアジュニア&カデットオープンに出場し、団体戦での準優勝に貢献するなどの活躍を見せました。小学校卒業後は、より良い環境を求め、大阪の強豪四天王寺中学へと進学します。中学在学時は2年次、3年次と四天王寺中学を全国中学校卓球大会女子団体戦二連覇に導く活躍を見せました。そして、エスカレーターで進学した四天王寺高校では、インターハイ女子団体戦三連覇の中核メンバーとして活躍しました。
しかし、残念ながら、すんなりとTリーグ参戦とはいきませんでした。今までの実績を鑑みれば、Tリーグに参戦する「資格」は十分にあるように思われましたが、そこは「目利き」の揃うTリーグスカウト陣。その時点での菅澤選手の実力では、Tリーグの壁は乗り越えられないと判断したのでしょう。
高校卒業後は実業団チームのデンソーポラリスに入団し、野村萌選手(九州アスティーダ)や赤江夏星(日本生命レッドエルフ。以下日生RE)といった現役Tリーガーたちにまじって、高いレベルでの研鑽を積みます。さまざまな大会でじわじわと上位への進出を果たしていき、2024年4月に行われた第33回日本卓球リーグ選手権・ビッグトーナメント青森大会女子シングルスにおいて、ついに優勝を果たしました。そしてその実績を買われ、京都カグヤライズ(以下京都K)と契約を結ぶことになりました。昨シーズン最下位に終わった京都Kに、菅澤選手の「勢い」が新風をもたらす効果を期待しての獲得です。ただ、残念ながら、開幕二試合で菅澤選手の出番はなし。チームも二連敗と苦しい状態が続いています。
菅澤選手の戦型は左シェークドライブ型で、「フォアハンドからのドライブで勝負していく」と自ら語っているように、フォアからの強打が最大の武器です。もう一つ、ユニークな武器として、「しゃがみ込みサーブ」があります。これはTリーグの中でも菅澤選手のみが使う、唯一無二の特技でもあります。ビッグトーナメントの準決勝、決勝ではいずれもゲームカウント0-2の劣勢から逆転勝ちしたように、粘り強さも出てきました。これも大きな武器の一つです。理想とする選手は、同じ左シェークドライブ型の早田ひな選手(日生RE)。フォアには自信がある菅澤選手がバックの技術、強打を身につければ日本のトップに躍り出ることも夢ではありません。
菅澤柚花里(すがさわ・ゆかり)
2003年9月20日神奈川県生まれ。大阪の強豪四天王寺中学・高校を経て2020年にデンソーポラリスに入団。2024-25シーズンから京都Kに入団しTリーグ参入。2024年のビッグトーナメント女子シングルス優勝。戦型は左シェークドライブ型でフォアハンドからの強烈なドライブが最大の武器。独特の「しゃがみ込みサーブ」も得意としている。
(文・江良与一)