【ツギクルTリーガー】Tリーグに「小さな巨人」は出現するか? 梅村優香


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【ツギクルTリーガー】Tリーグに「小さな巨人」は出現するか? 梅村優香

今回は身長147㎝と、小学生Tリーガーである松島美空選手(135㎝)を除けば、Tリーグ女子選手の中で最も小柄な梅村優香選手を紹介いたします。

梅村選手は2000年1月に青森県で誕生しました。早生まれなので、伊藤美誠早田ひな平野美宇選手らの「黄金世代」よりは1学年上になります。中学から大阪の名門四天王寺羽曳野中学に進学。四天王寺高校卒業までを大阪で過ごします。四天王寺高校は2014年から2022年までインターハイ9連覇を果たしている強豪校。梅村選手にとっては格好の「ゆりかご」となったようで、3年時のインターハイでは個人戦で優勝、ダブルスで3位に輝き、チームの優勝に大きな貢献を果たしました。「小さな巨人」という異名で呼ばれるようになったのも、この頃です。

高校卒業後は中央大学に進学し、各種の大会での活躍が認められて、在学中の2019-20シーズンからトップおとめピンポンズ名古屋に入団。2020-21シーズンまで同チームに在籍し、翌2021-22シーズンからは現在も所属する木下アビエル神奈川で戦っています。

Tリーグ参戦後の4シーズン通算で、シングルスは2勝3敗、ダブルスは9勝8敗と、残念ながら「小さな巨人」と言えるような活躍は出来ていません。梅村選手のプレースタイルはラケットの両面に性質の違うラバーを貼り、フォアハンドとバックハンドで違う回転のボールを打つことで相手をかく乱する左シェイク異質攻撃型。「相手のボールを利用してチャンスを作り、確実に攻めていく」という「技巧派」プレーを身上とする梅村選手ですが、世界でも有数のレベルの高さを誇るTリーグの、特にシングルスでは力負けしてしまう場面が多いようです。

反面、強力なドライブが武器の張本美和選手と組んだダブルスでは3戦全勝と無敵を誇っています。梅村選手がさまざまな回転のボールを確実に相手コートに打ち込み、ボールの変化に戸惑った相手からの返球がチャンスボールとなって張本選手が仕留める、というコンビネーションプレーはTリーグ屈指の見せ場と言ってよいでしょう。

今の梅村選手が目指すべきは、ダブルスの、つなぎのスペシャリストとしてチームに勝利を数多くもたらすことです。ダブルスで場数を踏んで、Tリーグのパワーのレベルに慣れ、相手の力を上手くそらすようなプレースタイルが確立できれば、シングルスにも活躍の場が広がっていくことでしょう。

そして、梅村選手が躍進することは彼女一人の成功には止まりません。外国人選手に対して、どうしてもパワーの点で劣ってしまう日本人選手の「プレーのお手本」となりうる可能性を秘めています。梅村選手が「小さな巨人」の呼び名を取り戻すことができれば、木下アビエル神奈川の連覇につながるとともに、日本の女子卓球を進化させることになります。小学校5年生女子の平均身長と同じ身長しかない梅村選手が、大きな選手たちを翻弄する姿を期待して応援していきましょう。

梅村優香(うめむらゆうか)
2000年1月9日青森県生まれ。四天王寺羽曳野中学、四天王寺高校を経て中央大学に進学。大学在学中の2019年にトップおとめピンポンズ名古屋に入団。2021-22シーズンから木下アビエル神奈川に移籍し、現在も同チームでプレーを続けている。プレースタイルはシェイク異質攻撃型。

(文・江良与一)

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