【今さら聞けない卓球用語】復活の平野美宇選手!その理由を独自解説!


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【今さら聞けない卓球用語】復活の平野美宇選手!その理由を独自解説!


スポニティによる週次連載記事の第12回、今回は一時の勢いを急激に取り戻しつつある平野美宇選手について、その復活の理由を独自に解説していきます。


世界最先端の卓球をしていた平野選手

平野選手が最も世界にその名を知らしめたきっかけは、中国選手を3人破って優勝した2017年のアジア選手権でしょう。

その決定的な要因は、平野選手がその当時世界で最もテンポの速いプレーをしていたからです。

それを可能にしていたのは、前陣で球の上がり際を捉える、いわゆる"前陣速攻"を追求していたことにあります。

女子の卓球界では近年、"女子選手の男子化"と呼ばれ、女子でも男子のように台から離れて大きなスイングをしてパワーのあるボールを打つことによって、他の女子選手を圧倒するというプレースタイルが中国を筆頭に主流になってきていました。

そんな中で、平野選手に限らず、体格で劣る日本人選手が、ボールそのものの威力やスピードではなく、プレーのテンポの速さによって、中国のパワーに対抗しようと考え、そして平野選手はその方法を世界で初めて中国相手に確立し、証明したのです。


スピードとパワーの狭間で

しかし、中国も平野選手を研究し、対策を練っていくうちに次第に平野選手の前陣速攻が通用しなくなってきます。その主な理由として、"決定力不足"があります。

台に近いところで速い打球点で打つということは、大きなスイングを取る時間がないということです、そのため台から少し距離を取ると、何球でも返球されたり、時には後ろからカウンターをされるというデメリットもあるのです。

どんなに素早いパンチでも、痛くも痒くもないヘナチョコパンチをいくら打ったところで、何の効果もないのと同じことです。

持ち前の前陣速攻、高速卓球が遅くなっても、少し台から距離を取って威力のあるボールを打てるようにするべきか、

決定力やパワーがなくても、打球点の速さ、プレーのテンポの速さをこのまま追求するべきか、

中国に対策されて勝てなくなってからの平野選手はかなり悩んだのではないかと思います。


ハリケーンの再来

今年の7月、クロアチアのザグレブで行われたWTTコンテンダー大会では、平野選手は中国選手を3人連続で破り優勝しました、決勝は世界ランク1位の孫穎莎選手です。まさにハリケーンの再来です。

しかし、平野選手はどのようにジレンマを克服したのでしょうか。

今の平野選手は以前と比べてほんの少し台から距離を取って、かつフォアハンドのスイングが大きくなっているように感じます。

確かに、以前の平野選手の、あの印象的なライジングを捉えた前陣速攻での得点は減ったと思います。

しかし、それ以上にフォアハンドにパワーや決定力がつき、バックハンドは安定感が増し、"オールラウンド力"が非常に高くなりました。

以前の前陣速攻一辺倒で、左右に大きく揺さぶられたり、ミドルを突かれるなど自分の思い通りのコースにこなかったときに崩れてしまうといった脆さがなくなり、決めれるボールは前陣で決める、決めれないボールは台から少し距離を取ってラリー戦に持ち込む、言うなれば"オールラウンド速攻型"とでもいうべき姿を見せています。

何がなんでも前陣にいて、ライジングを捉えて決めなければいけない、といった固定観念を取り払ったことが、平野選手の復活の理由なのではないかと思います。


みなさんの意見もぜひコメント欄にてお待ちしております。


文:干場卓哉(ホシバタクヤ)

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