【ツギクルTリーガー】きっかけさえあれば大爆発もありうる 曽根翔
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ノジマTリーグ2023-24は第3節に入り、全チームが登場し終わりました。熱い戦いが続いています。
今回は、T.T彩たまの主力としてチーム躍進の鍵を握る曽根翔(そね・かける)選手を紹介いたします。
曽根選手は2002年1月に兵庫県で誕生しました。小学校時代から全国大会上位に進出するなど活躍しましたが、各グレードの大会でことごとく張本智和選手に煮湯を飲まされて優勝にまでは至りませんでした。
中学は愛知の強豪愛知工業大学附属中学に進学。2016年、17年の全国中学校卓球大会で同校を団体優勝に導くとともに、個人でもシングルスベスト4、準優勝と将来性を感じさせる結果を残しました。また2017年からはさらなる飛躍のためドイツで武者修行を始めました。
高校は系列の愛工大名電高に進学。2019年のインターハイでチームの団体戦優勝に貢献するとともに、ダブルスで準優勝します。また同年にはドイツブンデスリーガの強豪ザールブリュッケンのセカンドチームに所属して「世界」を体感しました。
高校卒業後は愛知工業大学に進学し、同時にT.T彩たまに入団しTリーグに参戦します。参戦初年度の2020-21シーズンからチームの主力選手として活躍し、松山祐季選手や篠塚大登選手と組んだダブルスで11勝3敗と圧巻の成績を挙げ、篠塚選手とのペアはベストペア賞を受賞しました。2021-22シーズンは前シーズン1勝3敗と振るわなかったシングルスで、幼少時からの因縁の相手である張本選手、インカレで苦杯をなめた戸上隼輔選手に勝利するなど11勝5敗の好成績を挙げ、チーム初のプレーオフファイナル進出に大いに貢献したことが認められ、後期MVPを獲得し、一躍パリオリンピックの有力候補に躍り出ました。
そんな曽根選手は2022年6月に大きな決断を下します。2021年のインカレでチーム優勝に導いた愛知工業大学を中退し、Tリーグ一本に専念することを表明したのです。大学や高校のチームとの兼任選手は数多いですが、大学を中退してTリーグに専念することは非常に珍しいケースです。打倒張本、打倒戸上、そしてパリオリンピックでの活躍を期すためのこの英断は、曽根選手の覚悟の程を世間に広く知らしめました。
177cmという長身から繰り出される強力ショットと軽快なフットワークが武器の曽根選手は「快速ブルドーザー」の異名を持っています。特にバックハンドから放たれるドライブやチキータは世界でも十分に通用する威力を持っています。また、ミスが非常に少ないのも曽根選手の特長で、特にダブルスにおいては、この特長が威力を発揮すると目されています。一度自分のペースをつかんでしまえば、相手を圧倒する力を発揮するところも魅力の一つです。
しかしながら、2022-23シーズンはシングルス7勝11敗、ダブルス0勝5敗と伸び悩みました。2023-24シーズンも8月15日現在でシングルス2勝2敗、ダブルス1勝3敗と苦戦が続いています。地力は十分にある選手ですから、何かきっかけが欲しいところです。シングルで11勝した2021-22シーズンは、岸川聖也選手のラケットを参考にラバーを変更したことが躍進に繋がりました。ほんのちょっとした変化、気づきがあれば一皮も二皮もむける可能性を秘めているところが曽根選手の最大の魅力です。ここからの巻き返しに大いに期待しましょう。
曽根翔(そね・かける)
2002年12月1日兵庫県生まれ。小学生時代は地元の卓栄Kid’sに所属し、全国大会上位の常連。愛工大学附属中学、愛工大名電高校を経て愛工大に進学するもT.T彩たまでの戦いに専念するため2022年6月中退。戦型は右シェーク攻撃型でバックハンドからの多彩な攻撃が特長。
(文・江良与一)