【今さら聞けない卓球用語】なぜ張本選手は強いのか? その理由を独自解説!
スポニティ
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スポニティによる週次連載記事の第13回、今回は張本智和選手について、その強さの理由を独自に解説していきます。
高速卓球の先駆者
近年、高速卓球という言葉が浸透してきましたが、このプレースタイルの先駆者は、張本智和選手や平野美宇選手でしょう。
ヨーロッパや中国の選手に体格やパワーで劣る日本人選手が、それらに対抗するために磨き上げてきたスタイルが、近年実を結び、一つの日本の卓球の強みやアイデンティティとして確立されたのです。
それは日本国内の世代交代までもを活性化させました。
かつては、前でも後ろでもプレーができる超オールラウンドプレーヤーとして、その時代の先駆者だった水谷選手でさえも、張本選手の高速卓球の前には、その打点の速さについていくことも、凌いで自分のプレーにすることもできず、ただ一方的に攻め込まれることしか出来なかったのです。
2017年の初めての世界選手権と2018年の全日本決勝でそれぞれ水谷選手を破ったこと、この二つの試合は世代交代と張本選手の高速卓球を世に知らしめた印象的な試合だったのではないかと思います。
張本選手の強さの秘訣
張本選手の強さの最大の秘訣は打点の速さです。
パワーと安定感のある中国選手などに対して、例えば、水谷選手は後ろに下がって何本も粘り、反撃の機会を伺いながら次第に逆襲していくプレーが印象的ですが、しかしそれだけでは、確かに見応えがあって素晴らしいプレーではあるものの、優位に立つことはできません。
一般的に、前陣でプレーするのはパワーを補うために女子選手に多く、水谷選手に限らず、多くの特に男子の選手は、相手の強打に対して台から下がることで凌いだり、ドライブ対ドライブの大きなラリーにすることが多いのですが、
張本選手は台に張り付くように前陣にいて、打点の速いプレーを維持することによって、相手に時間的余裕を与えないため、従来の男子卓球に対して十分なスイングをさせずにパワーを封じ込めるなどの強いアドバンテージになり突出することができたのです。またそれが中国選手と対等に渡り合うことを可能にしているのです。
課題もある
他のメディアにて、男子日本代表監督の田㔟邦史さんも仰っていたことですが、張本選手の課題はフォアハンドです。
フォアハンドそのものに欠点があるとか、威力がないということではないのですが、例えば、バック対バックからフォアに振られたときに打点が遅くなってしまうといったことや、
あるいは、張本選手はフォア前のサーブに対してバックハンドでチキータをすることがありますが、バックへのロングサーブと混ぜられてフォア前をチキータするのが怖くなったときに、フォアハンドでのストップが少し甘くなったりします。
2017年の世界選手権の準々決勝で、中国の許昕選手に敗れた試合では、徹底的に上記の戦術によって崩されてしまったのがよくわかるので、改めて見てみるのも面白いと思います。
こういったところを突かれると、格下相手でも負けてしまうことがありますので、今後どのように改善されるかも見どころの一つでしょう。
皆さんの意見もぜひコメント欄にてお聞かせください。
文:干場卓哉(ホシバタクヤ)