【今さら聞けない卓球用語】覚醒した早田ひな選手!その理由を独自解説!
スポニティ
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スポニティによる週次連載記事の第14回、今回は早田ひな選手についての記事です。当初は伊藤美誠選手と平野美宇選手の影に隠れていた印象のある早田選手ですが、今ではパリ五輪選考レースで独走状態です、なぜここまで突き抜けることができたのか、その理由を独自に解説していきます。
アイデンティティの模索
早田選手は伊藤美誠選手や平野美宇選手ら黄金世代と呼ばれる選手の中の一人です、しかし国際大会で先に頭角を現し始めたのは伊藤選手や平野選手でした。
片や平野選手と言えば、2017年のアジア選手権で中国選手を3連続で破り優勝し、同じ年の世界選手権で銅メダルを獲得しました、伊藤選手も2016年には、オリンピック卓球競技史上最年少の15歳でメダリストになり、国内では2017年と2018年の全日本選手権で史上初の2年連続三冠という成績を収めました。
一方、早田選手はみまひなペアとして、ダブルスでは国際的に活躍できたものの、シングルスでは目立った成績を残すことができませんでした。
その決定的な理由は、世界で戦える独自のアイデンティティや武器がまだ確立されていなかったからです。
"女子選手の男子化"と呼ばれ、女子選手でも男子選手のようなパワーのあるボールを打ってくる中国選手に対して、伊藤選手は表ソフトラバーで相手の回転やスピードを殺して、みまパンチと呼ばれるスマッシュを活用し、パワー不足を補いました。
平野選手は高速卓球と呼ばれる、打点の速いプレーを追求することによって、相手にパワードライブを打つ時間の余裕を与えないことで、中国選手を封じこめることに成功しました。
早田選手は、安定感と長いリーチからの威力のあるフォアドライブが魅力的でしたが、いまいち中国選手を打ち破るほどの特徴的な武器や独創的なプレーは、まだなかったのです。
フォアハンドを活かすために
早田選手が大きく成長した要因の一つは、バックハンドにあります。
どれだけ素晴らしいフォアハンドを持っていても、それを打つ前のバックハンドでチャンスメイクができなければ、何の意味もありません。フォアハンドを打たせないようにずっとバック側にボールを集めているだけで、早田選手の魅力は引き出されなくなってしまうのです。
以前は、早田選手のバックハンドは、安定して入れることを重視しているように感じました、打点も遅く、これではバックハンド自体で得点することも、バックハンドでチャンスメイクをして得意のフォアハンドにつなげることも難しかったのではないかと思います。
しかし近年、大体2019年頃から、以前より前についてバックハンドを打つようになり、打球点も速くなったように感じました。
打点が速くなったことで、ただ受動的に入れるだけだったラリーが、より主導的になり、こちらからコースをついたり威力のあるボールを打つことで、得意のフォアハンドにつなげることができる機会が増えたのではないかと思います。
伊藤選手や平野選手の前陣速攻に、ただ返すだけの受け身ではなく、前陣で対等に渡り合い、機会があれば伊藤選手や平野選手にはない、長いリーチを活かした遠心力のあるフォアドライブを打てる。
これが早田選手が黄金世代の中で埋もれないために、中国選手と対等に渡り合うために、獲得した唯一無二の武器なのではないかと思います。
皆さんの意見も是非コメント欄にてお聞かせください。
文:干場卓哉(ホシバタクヤ)