【今さら聞けない卓球用語】なぜ中国は強いのか?社会的背景から解説!


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【今さら聞けない卓球用語】なぜ中国は強いのか?社会的背景から解説!


スポニティによる週次連載記事の第16回、今回は中国の強さについて、そもそもなぜ、いつからこのように支配的な強さを誇るようになったのか、その理由について解説していきます。


卓球を国技に

中華人民共和国(以下、中国)が成立した1949年に、卓球は中国の国技に定められました。

その理由について、中国初代首相の周恩来は、「中国人は、アヘン戦争での敗戦以来、欧米人に劣等感を抱いている。そこで、国民の自信を取り戻す方法として目をつけたのがスポーツだった。卓球なら日本が活躍しているので、同じ体格の中国人でもやれるのではないか。そう考えて卓球に力を入れることにしたのだ」(荻村伊智朗著「笑いを忘れた日」より)

と、話したそうです。

その言葉通り、1959年に世界選手権で中国選手として初めて優勝した容国団を皮切りに、1960年代頃から、中国が徐々に世界で頭角を現すようになります。

1961年には世界選手権の男女シングルス、男子団体の3冠を達成し、1981年になると、卓球史上初となる7種目完全制覇という偉業を成し遂げました。


充実した卓球環境

中国には「国家体育総局」というスポーツ全般を総括する国家組織があり、この組織の下に中国全土にスポーツ学校や卓球学校があり、優秀な才能を早期に発見し英才教育を施しています。

また、1995年には「全国クラブ大会(現・中国卓球スーパーリーグ)」 が発足するなど、卓球のプロを目指すための具体的な道筋が早い段階で整っていました。

このように、将来を通して卓球と向き合える環境が整っていることが、中国の卓球人口を押し上げ、高度な競争が生まれ強い選手が次々と輩出される要因になっているのです。


ピラミッドの大きさが違う

日本の卓球人口は約30万人(2022年度の日本卓球協会の登録人口)ですが、中国の卓球の競技人口は愛好家を除くと約3000万人と言われています。

どれだけ水谷選手や張本選手が100年に1人の逸材だと言われても、中国にはそのレベルが100人いてもおかしくはないということです。

さらにその中から中国のナショナルチームに入ろうとするなら20人、世界選手権やオリンピックの代表ともなれば2〜5人程度まで絞られます、言葉は悪いですが、厳選の度合いが桁違いなのです。

かつて、中国から日本に帰化した小山ちれという選手が、福原愛選手に対して「あの程度の選手は中国にはざらにいます」と発言し、大批判を浴びましたが、あながち間違いではなかったわけです。


卓球帝国の危機

一方で、中国の卓球人気にも近年陰りが見え始めています。

「勝つとわかりきっている、いつも中国人同士で決勝をするからつまらない」といった理由からです。

また中国では、卓球で活躍することは特別な意味があり、卓球で成功した選手はテレビやCMなどメディアに多く出演するようになり、有名人や成功者になれるのですが、近年では、中国の経済発展によって国民が豊かになり、卓球に夢を見なくなる人が増えているそうです。

そもそも卓球自体の人気も低迷しています、YouTubeやSNSの普及によって様々なスポーツを手軽に見れるようになった現代では、中国の若者にとってサッカーやバスケの方が人気だそうです。

日本の卓球にとってはありがたいことかもしれませんが、卓球の発展にとっては残念なので複雑な気持ちですね。

皆さんの意見も是非コメント欄にてお聞かせください。


文:干場卓哉(ホシバタクヤ)

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