【アナタの知らない卓球の世界】日本はなぜ強くなれたのか?日本卓球界の歴史を紹介
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先日アジア大会で、早田ひな選手が57年ぶりとなる中国出身者以外による銀メダル獲得をはたすという嬉しいニュースがありました。
最近では早田選手のように王者中国に対して、勝利する若手選手のニュースが増えてきています。
ただこの流れは近年急にきている訳ではありません。
今回はなぜ日本がここまで強くなれたのか、日本卓球の歩みについて紹介します。
昔の卓球界は?
戦後の日本卓球、1950年、60年代は日本卓球全盛の時代と言われています。
事実、多くの選手がメダルを獲得し、日本が世界で一番強いと言われていました。
しかし日本はその後王者から陥落、衰退の道を進んでいきます。
その一番の要因と考えられるのが、日本式プレーにあります。
日本式プレーとはフットワークを生かし、すべてをフォアハンドで振っていく「オールフォア」というプレースタイルの事を言います。
しかしこのプレースタイルはバランスに欠け、安定性が無いという大きな欠点があったのです。
そのため世界の卓球ではフォアハンドとバックハンドの両方を操る「両ハンド」という、より効率的かつ実戦的なスタイルに変わっていきました。
しかし日本はその流れに反発するように日本式プレーを変えようとしません。
偉大な先人の金言、そして伝統という名のプライドが邪魔して変化できなかったのです。
その結果、1991年大会では男子が13位のワースト記録を更新し、2000年大会で銅メダルは獲得したものの、地元大阪で開催された2001年大会も13位と不遇の時期を過ごしていきます。
近年の日本卓球が強い要因
ではなぜ日本卓球界が世界と戦えるようになってきたのか。
その要因には
・福原愛の登場
・若手育成システムの確立
の2つが考えられます。
卓球日本が復活できた要因として、まず上げたいのが福原愛選手の存在です。
彼女は世界で勝てなくなり確実に下がっていた卓球の認知度を維持、向上させたカリスマ的存在で、しかも日本国内に若年層からの卓球の英才教育のモデルケースを作成しました。
そのことにより日本国内の小さな子供が卓球にふれる機会が増え、卓球人口は爆発的に増加します。
卓球界はその流れに呼応して有望な選手を集めて「ホープスナショナルチーム」を結成し、年に数回遠征、合宿を行い世界で勝つことを意識したスタイル、最先端の練習法を指導する若手育成システムを確立していきます。
その結果、水谷選手を始め多くの有望選手が海外留学を経験し、一気にレベルを上げていきメダル獲得という結果を生み出したのです
しかもその指導は子供たちだけでなく、指導する側の研修も行い、指導者間の情報の共有を図ったことで、指導者レベルの底上げにもつながっていきます。
その結果、世界で勝てるプレースタイルを身に付けた有望な若手が多く育成され、日本全体のレベル向上につながったことは間違いないでしょう。
しかも、近年では「世界に勝つ」をスローガンとし、各カテゴリーごとに一貫した指導が行われ、より一層スター候補選手が次々と育つ土台が出来上がってきています。
最後に
日本のように継続的で、一貫した指導を行えている国は少なく、それだけ偉大なシステムを確立した日本卓球界は、他国から見たら間違いなく羨ましいでしょう。
しかしまだまだ王者中国には及ばない点は多々あります。
ただ今アジア大会のように変化の波紋が出てきています。
この流れを大切にし、日本がいずれ卓球王国と呼ばれる日まで、卓球選手を応援していきましょう。
(文・富永陽介)