【今さら聞けない卓球用語】高速卓球の定義は?そもそも卓球って高速じゃない?


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【今さら聞けない卓球用語】高速卓球の定義は?そもそも卓球って高速じゃない?

スポニティによる週次連載記事の第21回、今回は近年耳にする機会が増えた「高速卓球」という言葉について解説していきます。


高速卓球の定義は?
近年、新しい卓球のスタイルとして「高速卓球」というスタイルが登場しました。しかし卓球に詳しくない人からすると、プロの試合は全てが高速に見えるでしょうし、普通のプレーと高速卓球は一体何が違うのか、どんなプレーのことなのか、わからない人も多いと思います。

卓球経験者や卓球に詳しい人たちの間でも、高速卓球に何か明確な基準があるわけではありません。人一倍スイングスピードが速いとか、何キロ以上の速さでボールを打ったとか、そういった具体的なものではなく、漠然としたプレースタイルのことです。

しかし一方で、やはり卓球に詳しい人は、今のは高速卓球だ、今のは高速卓球ではない、と判断できるのも事実です。

そこで、今回はこの得体の知れない「高速卓球の定義」を言語化してみようと思います。


高速卓球を始めたのは誰か
高速卓球という言葉やプレースタイルが誕生したきっかけとして、最も可能性が高いのは、やはり2017年のアジア選手権での平野美宇選手の活躍でしょう。

当時の世界ランキング1位の丁寧、2位の朱雨玲、5位の陳夢を倒して優勝し、その誰もが平野選手の打点の速いプレーについていくことができなかったため、それをITTFは「ハリケーン平野」という名称で例えました。これがまさしく日本で言うところの「高速卓球」なのです。

また、高速卓球の第一人者の一人として、張本智和選手も挙げられます。張本選手もまた2017年の世界選手権の2回戦で水谷選手に勝利しセンセーショナルな世界選手権デビューを果たしましたが、そのプレースタイルは水谷選手の後陣からの粘りや反撃を許さず、前陣でたたみかけるように攻撃する様子が、まさに高速卓球と呼ぶに相応しい卓球だったわけです。


それまでの卓球と何が違うの?
この二人のプレーの特徴は、台から下がらず、より台の真ん中に近いところに立って、全てのボールを打球点を落とさず、より高く速い打点で打球することができるということです。

これにより、広角にコースを突くことができ、少しでも相手が台から下がれば時間的な余裕が生まれ、強打のチャンスを作ることができます。

では、他の選手も同じようにプレーしたらいいのでは、と思うかもしれません。例えば水谷選手は、そのような高速卓球に対応するため、ある時期からは台から下がらず前陣でプレーをしていた時期がありました。

しかし、それまでの練習で培った、あるいはそもそも持っている自分のプレーの型を突然変えることは簡単なことではありません。どれだけ前陣でプレーすることを心がけても、やはり水谷選手の持ち味や魅力は、後陣での粘りとそこからの逆襲なのです。

このように、高速卓球を持ち味とする選手は、ほとんど少なくとも相手より台から下がらず、バックもフォアもボールの上がり際を捉えるために、台の真ん中寄りに立ち、広角にコースをついたり相手を台から下げて、次第に自分のチャンスボールを作っていく、といったプレーが特徴であり、このような特徴を見かけたら高速卓球をしていると判断できる可能性が高いです。

卓球に詳しくない人は、ずっと台の近くでプレーしていたら高速卓球、台から下がることが多い人は高速卓球じゃない、と覚えておけばいいと思います。

皆さんの意見もぜひコメント欄にてお聞かせください。

文・干場卓哉(ホシバタクヤ)

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