【ツギクルTリーガー】活躍中の先輩たちの背を追いかけてTリーグへ 三木隼


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【ツギクルTリーガー】活躍中の先輩たちの背を追いかけてTリーグへ 三木隼


先週末より再開したTリーグ。男子では岡山リベッツ(以下岡山R)が首位を走る琉球アスティーダ(以下琉球A)に土を付け、最下位のT.T彩たまが2位の木下マイスター東京(KM東京)を撃破するなど、大波乱のリスタートとなりました。戦いがもつれればもつれるほど選手も燃えてきますし、ファンの期待も熱量も増していきます。より一層の熱戦が続くことを期待しましょう。

さて、今回は2023-24シーズンから静岡ジェード(以下静岡J)に入団した三木隼(みき・はやと)選手を紹介いたします。

三木選手は2006年3月に神奈川県で誕生。祖父は神奈川県のジュニア世代を牽引する卓球クラブを主宰した故岸田晃氏で、父尚さんは実業団のリコーで活躍した卓球選手、母の朋子さんは晃氏の薫陶を受けた「岸田三姉妹」の次女で現在岸田クラブのコーチを務めているという名門卓球一家に生を受けたプリンスは4歳の時からラケットを握り、小学校時代から国際試合に出場するなど、早くから注目を浴びる存在でした。

しかし、意外にも中学時代まではあまり卓球を楽しいと感じたことはなかったそうです。あるインタビューで「父にしごかれていた」と語っているように、「やらされ感」が強かったようで自分から意欲的に卓球に取り組むという向き合い方ではなかったようです。

そんな三木選手を変えたのは、野田学園高校への進学でした。同校は戸上隼輔選手(KM東京)、有延大夢選手(琉球A)を輩出している山口県の名門高です。ここで名将橋津文彦監督の指導を受けたことで卓球の楽しさを改めて認識し直し、また自ら努力することの大切さを学び、文字通り卓球にのめり込みました。「血統」に裏打ちされた恵まれた素質に、自発的な意思での努力が加わったのですから、実力が伸びないはずはありません。入学時からチームの主力選手となり、2022年、高校2年時にはインターハイで3位に入る活躍を見せました。その実績が認められ、静岡Jへの入団も果たしましたが、三木選手にはまだ高校生としてやり残したことがあるという強い思いがありました。それはインターハイ個人戦シングルスでの優勝でした。2022年に準決勝で吉山僚一選手(愛工大名電 現在は岡山R所属 日本大学にも在学中)に6回のマッチポイントをしのがれて逆転負けを喫した悔しさが消えていなかったのです。優勝のために三木選手は戸上選手や有延選手、元Tリーガーの平野友樹氏の胸を借りて練習に励みました。強力なOB達との練習では技術的なことよりも試合の組み立て方や試合の中での冷静な判断力などを学んだそうです。そして臨んだ2023年のインターハイで三木選手は、先輩から学んだ冷静な試合運びでついにその宿願を果たすことになりました。この優勝はまた、2021年に逝去した祖父、岸田晃氏に捧げるものでもありました。

三木選手の戦型は左シェークドライブ型で、フォア、バックともにパンチ力のあるドライブが特徴。特にバックハンドからのドライブは一撃で決め切る破壊力を持っています。のみならず、ここぞという場面ではチキータを繰り出す器用さもあります。強打ばかりでなく、巧みなショットを織り交ぜて相手を翻弄するクレバーさも加わった高校チャンピオン。現時点でまだTリーグでの出場はありませんが、近い将来、大型ルーキーとして登場してくるのは間違いありません。


三木隼(みき・はやと)
2006年3月28日神奈川県生まれ。現在野田学園高校在学中。2022年インター杯男子シングルス3位、2023年同大会シングルス優勝。2023-24シーズンより静岡Jに入団。戦型は左シェークドライブ型で、バックハンドからの強烈なドライブには定評がある。チキータも得意。


(文・江良与一)

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