卓球のプロリーグであるTリーグが開幕してから6年目を迎え、今年も各チームが激しい戦いを繰り広げています。

中でも、今年の注目は新たに参加したチーム「静岡ジェード」です。

予想を覆す活躍でTリーグに新たな旋風を巻き起こす彼らの魅力に迫ってみましょう。


静岡ジェードがなぜ発足したのか？
卓球愛好者も多く、県内人口から卓球協会に登録する選手の割合を見た場合、全国でもTOP5に入るほど卓球が盛んな静岡は、伊藤美誠選手をはじめ多くの有力選手を輩出しています。
一方で、受け皿となる卓球チームが少なく、有力選手は愛知県や、神奈川県の高校や大学に出てしまい、とりわけ奥静岡地域の過疎化が大きな課題になっています。

そうした状況に多くの変化をもたらす願いを込めて、静岡ジェードは2023年2月に誕生しました。


静岡ジェードの魅力とは？
静岡ジェードの特徴として、やはりそのチームワークがあげられます。

彼らは日本人だけで構成された男子唯一のチームとして若手とベテランが共存し、経験豊富なベテランによる指導が、若手の活気と躍動感を引き出し、チーム全体の力を高めています。

その中心にいるのが森薗政崇選手です。

彼は選手兼任監督としてWポジションでの活躍が求められており、双方の視点から選手たちを導くその存在が、チームワークをより強固なものへと進化させています。

チームの団結力が際立ったのが2023年08月26日（土）に行われた木下マイスター東京戦で、昨年ファイナルまで駆け上がり、直近5連勝をしていた最強の相手に、持ち前のチームワークを活かして4連勝と完璧なゲーム展開で勝利を掴みました。

そして、それに勝るとも劣らないチームの大きな魅力として、地域密着のマインドがあげられます。

開幕前から卓球教室を開催するなど、地域密着のイベントに選手が参加し、卓球を通じて地域社会との結びつきを一層深め、ファンとの距離を縮めています。

ファンが共感し、そして応援してくれる組織を作っている。
これこそが静岡ジェード最大の魅力と言えるでしょう。


静岡ジェードの一推し選手
そんなセールスポイント溢れる静岡ジェードの中で、筆者一推しの選手をご紹介します。

「松下大星選手」です。

松下大星選手は、近年では珍しいペンホルダーを使用した積極果敢で攻撃的な選手で、昨シーズンからTリーグの選手として活躍しています。

今年は序盤戦こそ黒星が続き、調子の上がらない時期が続いていましたが、代表経験もある宇田幸矢選手との1戦をきっかけに、復調をはたしその後シングルス4連勝と結果を出しています。

Tリーグはシングルスで2勝以上しなければ勝てません。

現在エースである森薗政崇選手以外で、勝利を掴む選手がどのような結果を出すかが、直接的に順位に響いてきます。

そのためにも彼には、これまで以上の成長と結果を期待したいところです。

静岡ジェードが白星を勝ち取るために彼がどこまで活躍できるのか？ 期待して見ていきましょう。


最後に
プロチームはファンあってのものです。

静岡ジェードはそのことをよく理解しているチームと言え、運営母体もそして選手も、静岡のため、卓球ファンのために邁進しています。

そんな静岡ジェードだからこそ、魅力を感じ、ついつい追いかけてしまうのはきっと私だけではないはずです。


（文・富永陽介）