【ツギクルTリーガー】覚醒が待ち遠しい未完の大器 谷垣佑真


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【ツギクルTリーガー】覚醒が待ち遠しい未完の大器 谷垣佑真


Tリーグの2023-24シーズン男子は二週間ほどの小休止期間に入っています。12月9日(土)の再開初日には、現在2位の琉球アスティーダ(以下琉球A)と3位の岡山リベッツ(以下岡山R)が激突します。日程の都合上、首位木下マイスター東京(以下KM東京)はしばらく試合がないので琉球Aにとっては、首位KM東京を追い越すチャンスですし、岡山Rにとっては上位2チームに肉薄するチャンスです。熱戦を期待しましょう。

さて、今回は岡山Rに在籍する未完の大器、谷垣佑真(たにがき・ゆうま)選手を紹介いたします。谷垣選手は2003年6月に兵庫県で誕生しました。小学生時代に地元のクラブチーム、華兵ロードスカイで卓球を始めた谷垣選手は、数々の大会で好成績を修め、中学はより良い環境を求め、全国屈指の強豪校愛工大名電中学に進学します。そして高校もそのまま愛工大名電高校へと進みました。あるインタビューで谷垣選手は中学・高校での練習環境について「いい選手が多くて、毎日の練習が全国大会みたいだ」と語っていますが、このハイレベルな練習環境は谷垣選手にとっては最良のゆりかごとなったようです。順調に実力をつけた谷垣選手は、2017年のポルトガルジュニア&カデットオープンでU15の部で優勝、そして2018年の全国中学校卓球大会男子シングルスでも優勝し、世代のトップ選手に躍り出ることとなります。高校進学後も数々の大会で好成績を残し続けましたが、圧巻は2021年のインターハイ。シングルス、ダブルス、団体の三冠を制したのです。特に団体戦は激戦続きで、再三最終5戦目にまでもつれ込みましたが、谷垣選手はことごとく勝利して母校に栄冠をもたらしました。プレッシャーのかかる決戦の場に臨む心境について、緊張どころか「ラスト、俺が勝ったらヒーローだなと思ってました(笑)」というのですから、その精神力の強さには恐れ入るばかりです。ただし、この強いメンタルは、日々のハイレベルな練習で培った技術と、ジムのトレーナーとの二人三脚で作り上げた強靭なフィジカルに裏打ちされたものでした。
心技体が充実した状況で、2021-22シーズンに岡山Rと契約を交わし、現役高校生Tリーガーとしてデビューします。しかし、流石に「プロの壁」は厚く、シングルスで初勝利を記録したものの、1勝5敗、ダブルスは0勝1敗という悔しい結果しか残せませんでした。愛知工業大学に進学し、心機一転で臨んだ翌2022-23シーズンはシングルス2試合のみの出場で2敗。今シーズンは12月6日現在シングルス2試合に出場して1勝1敗と文字通り伸び悩んでいます。

この現状に一番歯がゆい思いをしているのは谷垣選手自身でしょう。年齢が近いチームメイト吉山僚一選手が今シーズンすでに10試合に出場(5勝5敗)し、チームの主力選手になっています。また吉山選手は混合団体ワールドカップの代表選手に選ばれるなど注目を浴びる存在にもなっています。同年代のトップランナーであった谷垣選手も心中期するところがあるに違いありません。こうしたライバル心をバネに、「未完の大器」から「未完」の二文字が取れるような活躍を望みたいものです。

谷垣選手の戦型はオーソドックスな右シェークドライブ型ですが、身長178cmと長身であるため、個々のショットに威力があります。しかし、パワー一辺倒ではなく、細かいテクニックも持ち合わせています。特にバックからのショットは多彩で、得点獲得の決め球となることも多いようです。また、サーブからのフォアでの3球目攻撃も武器の一つで多くの得点を挙げています。
谷垣選手が、Tリーグでの戦いの中で一段上の心技体の充実を果たし、世界に羽ばたく姿を期待して応援していきましょう。


谷垣佑真(たにがき・ゆうま)
2003年6月3日兵庫県生まれ。愛工大名電中学、同高校を経て現在愛知工業大学在学中。2021年のインターハイではシングルス、ダブルス、団体の三冠を達成。2021-22シーズンより岡山Rに入団し、Tリーグに参戦。戦型は右シェークドライブ型で、バックハンドからの多彩な攻撃が特長。


(文・江良与一)

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