【アナタの知らない卓球の世界】ヨーロッパの皇帝! 最強中国を最も苦しめたティモ・ボルとは?


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【アナタの知らない卓球の世界】ヨーロッパの皇帝! 最強中国を最も苦しめたティモ・ボルとは?


2000年代後半、世界選手権やオリンピックなど多くの国際大会で中国選手が表彰台を独占していた時代。
そんな中国卓球が現代以上に栄華をきわめていた当時に彼らの牙城を崩し、ヨーロッパ選手の威信を守り抜いた選手がいます。

その名も欧州の皇帝「ティモ・ボル」選手です。

彼はいかにして、最強中国と互角に渡り歩き、そして結果を出し続けていったのか、今回は「ティモ・ボル」選手について解説していきます。


ティモ・ボル選手の経歴

ティモ・ボル選手は1981年にドイツで誕生しました。
彼は若い頃から類まれな才能を示し、1995年のヨーロッパ卓球ユース選手権カデットの部で優勝し、ジュニアとして頭角を現します。

2年後の1997年には、世界卓球選手権に10代で初選出されると、個人ではダブルスで銀メダルを1個、シングルスで2個の銅メダルの合計3個のメダルを、団体では6個のメダルを獲得します。
またオリンピックでも、2000年のシドニー大会出場を契機に、東京オリンピックまで6大会連続で出場し、団体で4個のメダルを母国にもたらしました。

その強さ、また当時衰退期にあったヨーロッパ卓球業界を一人で牽引しているように見えたことからいつしか「欧州の皇帝」と呼ばれるようになりました。

彼の功績で特に優れている点として、「強さの安定性」が挙げられます。

彼は当時世界ランキング上位を10年以上も保ち続け、世界ランク1位の座は7ヶ月間キープ、36歳となった2018年にも世界ランク1位を再度奪取するなど、長きにわたって結果を出し続けました。

現在は、年齢からくる衰えなどから国際大会の舞台からは退いていますが、ドイツのブンデスリーグ1部の選手として現役を続行しています。


ティモ・ボル選手のプレースタイル

ティモ・ボル選手は、回転を重視するシェークドライブ型を基本とした戦型のプレーヤーです。

彼の技術で最も優れているのが、ボールの回転を自由自在に操る能力です。

彼はサーブであれば、YGサーブを中心に多彩な回転をかけるプレーで、相手を翻弄します。また、ドライブ(特にループドライブ)に関しては、松下浩二氏からも「世界一の技術」と評価されるほどで、回転がかかりながら通常の強打と変わらない「低く、速い」ボールを打つ技術も持ち合わせています。

カウンター技術も秀逸で、チキータ、ストップ、フリックなどの台上技術のレベルも非常に高く、その見事なテクニックは特に中国選手との対戦で効果を発揮し、カウンターで不利な状況を覆すシーンも多々ありました。

その技術の粋を集めたベストゲームが、2005年男子ワールドカップ決勝で行われた王皓選手との対決。
このゲームは第7ゲームまでは接戦で進みましたが、そこからティモ・ボル選手のドライブとカウンターが冴え渡り、世界王者相手に10-4と圧倒的ポイント差で勝利を収めています。


最後に
ティモ・ボル選手は、中国一極に偏りつつあった卓球をワールドワイドなスポーツとして維持させ続けた非常に重要な選手です。

その影響は遠く日本にも届いており、張本智和選手がティモ・ボル選手との試合に初勝利した際、素直に「正直勝てるとは思わなかった」とのコメントを残しています。

それだけ彼は偉大な選手だったのです。

皆さんもぜひ、世界の頂点に君臨する中国に対抗し得る稀有な存在としてプレーし続けた、「欧州の皇帝」の勇姿と功績に触れてみてください。


(文・富永陽介)

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