【ツギクルTリーガーの通信簿】飛躍を予感させる着実な進歩 出澤杏佳


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【ツギクルTリーガーの通信簿】飛躍を予感させる着実な進歩 出澤杏佳


10月6日から13日にかけて開催された第27回アジア選手権において、女子団体は宿敵中国を破って優勝。中国を破っての優勝は実に50年ぶりという快挙でした。男子シングルスでも張本智和選手(琉球アスティーダ)が50年ぶりに優勝と、日本卓球界は沸騰中です。そんな熱気を受ける形でノジマTリーグ2024-25シーズンが再開し、金沢ポート九州アスティーダ(以下九州A)が接戦を制しました。このままの勢いで今シーズンのTリーグが最後まで盛り上がることを期待しましょう。

さて、今回の通信簿は苦戦続きの九州Aを主力選手として支え続けている出澤杏佳(いでさわ・きょうか)選手を紹介いたします。

出澤選手は、茨城の大成女子高校在学中の2019-20シーズンからトップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)に入団し、Tリーガーとしてのキャリアをスタートさせました。2019年の全日本卓球選手権大会ジュニアの部女子シングルス優勝、同大会一般の部女子シングルスベスト16入りという実績を買われてのTリーグ参入でしたが、2シーズン在籍したTOP名古屋での通算成績はシングルス4勝12敗、ダブルスは1試合のみの出場で敗戦と「Tリーグの壁」に見事に跳ね返される結果となりました。2021-22シーズンからは心機一転、九州Aに移籍し、主力選手への抜擢を受けますが、主力選手ゆえに相手チームの有力選手と対戦する機会が増え、昨シーズンまでの3シーズンの通算成績はシングルス9勝22敗、ダブルス5勝12敗と苦境が続きました。ただし、23-24シーズンはシングルス6勝7敗と進歩をうかがわせる実績を残しました。そして今シーズンはシングルス4勝1敗、ダブルス1勝無敗と、苦境が続く九州Aにあってきらりと光る存在感を示しています。過去5シーズンでトップレベルの試合を数多く経験したことで地力がついてきたこともありますが、何より2023年の全日本大学総合卓球選手権大会女子シングルス、全日本学生選抜卓球選手権大会女子シングルスの双方に優勝し、「勝ちグセ」がついたことが今シーズンの好スタートに繋がりました。今春、最上級生に進級した専修大学では卓球部主将の重責を担うことにもなり、そこで培われたリーダーシップを九州Aで発揮することも期待されています。大きな飛躍への準備は十分過ぎるほど整っているのです。

出澤選手の戦型は右シェーク粒高攻守型というユニークなもの。フォア側には表ソフト、バック側には粒高のラバーを貼り、相手が対応しにくいショットを放ち続けるのが特徴です。また、攻撃中にラケットの表裏を入れ替えて、相手の意表をつく変化をもたらすショットを放つ変幻自在なプレースタイルも持ち合わせています。この異質ラバー構成は、卓球を始めた直後の小学校1年生の時に当時のコーチが採用したもので、出澤選手を世界でも類を見ないユニークな選手に成長させました。ラケットの特異性ゆえに「異色選手」と位置付けられることも多かった出澤選手ですが、ラケットの特異性に頼らなくても済む実力を着々と身に付けつつあります。異質なラバーの特色を常時「利用」するのではなく、勝負のアクセントとして使えるようになれば、今後予想される上位チームの主力選手との対戦でも勝利する姿が見られることでしょう。のみならず、日本代表の座も近づいてくることにもなります。今シーズンの出澤選手からは目が離せません。


出澤杏佳(いでさわ・きょうか)
2002年6月28日茨城県生まれ。泉丘中、大成女子高を経て現在専修大学在学中。同大卓球部では主将を務める。高校在学中の2019年にTOP名古屋に入団しTリーグデビュー。2021-22シーズンから九州Aに移籍。右シェーク攻撃型でフォア側は表、バック側は粒高という独特のラバーからのドライブが特長。ラリー中にラケットの表裏を替え、相手を幻惑するショットを放つこともある。


(文・江良与一)

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