【アナタの知らない卓球の世界】なぜ今の子供たちに卓球が人気なのか? 人気上昇の理由を探る
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ここ数年、日本の卓球界では、時代の変化と共に若い選手の活躍が取り上げられるようになっています。
その最たる例が、張本智和選手の、日本男子50年ぶりのアジア選手権制覇でしょう。
なぜこれほど若い選手が世界で活躍できるようになったのか?
今回は、その背景にあると考えられる、卓球が今や「子どもの選手が急増するスポーツ」として生まれ変わったという事実にスポットを当てたいと思います。
卓球の「暗い」「地味」イメージからの脱却
少し前まで、卓球は「地味」「暗い」などと言われることが少なくありませんでした。
今では考えられませんが、学校の部活動で「卓球部です」と答えるのが、ちょっと恥ずかしいと思ってしまう時代もあったのです。
しかし、ここ10年でその印象は大きく変わりました。
その大きな転換点となったのが、福原愛さんの登場でしょう。
“天才少女”“泣き虫愛ちゃん”と称され、テレビなどで幾度となく取り上げられた彼女は、その成長を皆に見守られるようなかたちで、競技人生を歩みました。
彼女の成功がメディアで取り上げられるたびに、「自分も卓球をやってみたい」と感じる子どもたちが増え、卓球は暗いスポーツというイメージは大きく変化していきました。
「卓球を始める子どもたち」が急増する理由
卓球が他のスポーツと異なるのは、その「技術と練習量」が勝敗を左右する点です。
サッカーやバスケットボールのように体格やパワーが絶対的な要素ではなく、卓球は技術の正確さやスピード、そして回転の多様性などが試合の鍵を握ります。
これにより、体格の小さい子どもでも技術を磨けば、体格差がある大人とも対等に戦えるのです。
また、卓球はケガのリスクが低いスポーツでもあります。
サッカーやラグビーのように激しい体当たりや接触が少なく、事故や大きなケガを心配することなく続けられることから、親たちの安心感も大きな要因となっています。
卓球の「手軽さ」も人気の理由
さらに、卓球が選ばれる理由にはその「手軽さ」も関係しています。
必要な道具はラケットとボールだけ。
机の上でティッシュボックスをネット代わりにして練習できるなど、特別な設備や広い場所を必要としないことに加え、卓球は屋内競技であるため、天候に左右されることなく毎日練習できるという利点があります。
卓球の見方の変化も!
また、卓球はただの「スポーツ」だけでなく、頭脳を使う「知的なスポーツ」としての見方が広まってきたことも、人気上昇の一端を担っているでしょう。
卓球は「100メートル走をしながらチェスをする」と形容されるくらい、瞬間的に戦略を練り、相手の動きや心理を読んで攻撃を仕掛ける必要がある競技です。
事実、ある研究では脳を活性化させる効果があるとのことで、「卓球療法」というリハビリも存在しています。
子どもたちの知力と集中力が養われるため、親にとっても魅力的で、卓球をする子どもたちが増えていると言われています。
今後の卓球界への期待
こうした背景をふまえると、子どもたちが卓球を始める年齢がますます低くなっているのは当然の流れといえるでしょう。
そして、彼らが成長し、未来の張本智和選手や伊藤美誠選手といった若手スターたちが次々と登場することで、日本の卓球界はさらに発展していくことが期待されています。
卓球はもはや「地味で暗いスポーツ」ではなく、才能を持つ若者たちが世界で輝くことができる、人気のスポーツへと変貌しました。
これからも新しい世代の選手たちが続々と現れ、日本のみならず世界中でその実力を発揮していくことでしょう。
(文・富永陽介)