【ツギクルTリーガーの通信簿】「Wさっちゃん」でも個人でも世界で羽ばたく 横井咲桜
スポニティ
0
0
122
今節のノジマTリーグ2024-25シーズンは男女ともに波乱続きとなりました。男子はT.T彩たまが前節から4連勝し2位に浮上。女子は前節まで無敗だった日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)が2連敗を喫したのです。シーズン終盤に向け、男女ともに目の離せない試合が多くなりそうです。さらなる盛り上がりに期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、2連敗したもののまだ首位を堅持しているニッペMで、主戦選手の一角を担う横井咲桜(よこい・さくら)選手の現在地について見ていきたいと思います。
横井選手は2004年4月生まれで現在20歳ですが、すでにTリーグ在籍は4シーズン目です。2021-22シーズンに九州アスティーダに入団し、翌22-23シーズンにニッペMに移籍して今シーズンで3シーズン目となります。2023-24シーズンは、シングルスのみ20試合に出場し、11勝9敗とレギュラー選手としてはギリギリ及第点といったところでしたが、注目すべきはチームの勝敗を左右するビクトリーマッチへの出場が3試合あったことです。結果は2勝1敗で見事にチームの3位入賞、プレーオフ進出に貢献しました。何より、勝負を決めるギリギリの戦いを経験したことは、横井選手を一皮剥かせたようです。
特に2024年に入ってからは、四天王寺中学時代からの盟友で、ニッペMのチームメイトである大藤沙月選手とのペア、通称「Wさっちゃん」で挑んだ女子ダブルスで目覚ましい躍進を見せています。
WTTツアーではバラジュディン、ザグレブ、チュニス、リマと4つの大会で優勝を飾りました。そして、日本女子団体が50年ぶりに中国を破って優勝したことが話題になった、10月のアジア選手権の女子ダブルスでも見事に優勝を果たしました。
11月に入ると、WTTツアーチームのうち上位8チームしか招待されないファイナルズに出場します。1回戦で世界ランク2位の韓国ペアを撃破すると、準決勝では元世界ランク1位の「Wみゆう」こと長﨑美柚・木原美悠ペアに3-0で勝利し、決勝へと進出。決勝の相手は、ニッペMのチームメイトでもあるカットマンペア橋本帆乃香・佐藤瞳組。日々練習を重ね、手の内を知り尽くしている先輩ペアとの同門対決には残念ながら敗れてしまい、惜しくも準優勝となりましたが、日本に「Wさっちゃん」あり、ということを全世界に知らしめる活躍でした。「Wさっちゃん」は現時点で日本勢最高の世界5位にランクされています。
そんな横井選手ですが、個人としては依然として「ブロンズコレクター」に甘んじています。今年1月の全日本卓球選手権大会では女子シングルス3位、「Wさっちゃん」でダブルス優勝を飾った、WTTバラジュディンでも女子シングルス3位と、あと一歩のところでどうしても頂点まで届きません。
ダブルスでは盟友でもシングルスとしてはライバルの大藤選手は、一足先にWTTモンペリエで、伊藤美誠(スターツ)、平野美宇、張本美和(ともに木下アビエル神奈川)のビッグネーム3名を次々と撃破し、WTTツアー初出場初優勝の偉業を達成しました。ある意味最も身近な存在である大藤選手の栄冠獲得に、横井選手は心穏やかではいられないのではないでしょうか。
横井選手の戦型は右シェークドライブ型で、ラリーの中で様々な距離のツッツキを駆使して、相手からチャンスボールを引き出し、強いドライブで決めるというのが主な戦術です。また、回転の見極めが難しい巻き込みサーブを放っての3球目攻撃も強力です。テクニックも力強さも高いレベルにある横井選手が、あと一歩まで迫っている頂点をつかむ瞬間が、今シーズンのTリーグで見られるかもしれません。
横井咲桜(よこい・さくら)
2004年4月23日岐阜県生まれ。四天王寺中学を経て四天王寺高校卒。四天王寺高校2年時に大藤沙月選手との「Wさっちゃん」ペアを組み、2024年のWTTツアーで4勝を挙げ、世界ランクを5位まで上げた。戦型は右シェークドライブ型で、多彩なツッツキと巻き込みサーブからの3球目攻撃を武器としている。
(文・江良与一)