【アナタの知らない卓球の世界】あの張本選手もあこがれる、中国のレジェンド・馬龍を紹介!
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卓球界の歴史にその名を刻む男、馬龍。
卓球ファンならば、一度は耳にしたことがあるであろうその名前。
彼は唯一、卓球のオリンピック男子シングルスで2連覇を達成した選手であり、そのキャリアは最早「偉大」という言葉を使っても語り尽くせないほどのものがあります。
今回は、そんな馬龍選手の強さと、キャリアのハイライトについて紐解いていきます。
馬龍選手のキャリア
1988年、中国遼寧省鞍山市に生まれた馬龍選手。
幼少期から並外れた才能を魅せつけ、2004年の世界ジュニア選手権男子シングルスでの優勝は、彼の無限の可能性を世界に告げる第一歩となりました。
2006年、中国チームの世界選手権団体戦で優勝に貢献し、シニア選手としての本格的なキャリアをスタート。
驚くべきことに、22歳の若さでITTF世界ランキング1位を獲得し、卓球界の新たな王者として君臨するようになります。
2011年、彼の道は決して平坦ではありませんでした。
深刻な怪我に見舞われ、世界ランクを5位にまで落とすという苦難の時期を経験したのです。
しかし、この逆境こそが、彼のプレースタイルをより安定感のあるものへと昇華させる転機となります。
2015年、悲願の世界選手権男子シングルス初優勝を果たし、その後は驚異的な連続勝利を積み上げていきます。2016年リオデジャネイロオリンピック、2017年と2019年の世界選手権、そして2020年東京オリンピックと、彼の栄光は止まることを知りませんでした。
特に、2020年東京オリンピックでの快挙は、卓球史に永遠に刻まれるものとなりました。男子シングルス史上初の2連覇を達成し、さらに団体戦でも中国チームを金メダルへと導き、史上最多となる5つ目のオリンピック金メダルを獲得。
彼は、卓球界で唯一の2度の「大満貫」を成し遂げた選手となったのです。
馬龍選手の強さの秘訣
彼の強さの根源は、圧倒的な技術力と試合運びの巧みさにあります。特に注目すべきは、回転の「上書き力」。
馬龍選手は、卓球における「上書き」のスペシャリストと呼ばれ、どんな回転や球威をも無効化し、それ以上の回転でボールを返す驚異的な能力を持っています。
フォアハンドドライブは卓球界屈指の破壊力を誇り、後陣からでも安定した攻撃を繰り出すことができます。
この技術は、ヨーロッパ選手が得意とするパワードライブに対抗する上で非常に有効であり、ラリーの主導権を常に握り続ける要因となっています。
明確な個性を有しながら、馬龍選手は安定したフォームで軸がぶれない、安定的な卓球を実現しています。
どんなに激しいラリーでも体勢を崩さず、的確なショットを打ち続けることができるのです。
そして驚くべきことに、彼は奇をてらった派手な戦術をほとんど使用しません。
フォア前やミドル前へのサービスを基本とし、レシーブではストップなど、通常は戦術と言えない基礎の基礎を愚直に遂行。そして、その基本を最高の戦術へと昇華させているのです。
まとめ
現在35歳を迎えた馬龍選手は、いまだに中国卓球界の象徴的存在として活躍を続けています。
今年の世界選手権では、再び中国チームを金メダルへ導き、その実力とリーダーシップは衰えることを知りません。
彼のキャリアは、努力と才能、そして逆境を乗り越える精神力の結晶。卓球界の「巨匠」として、彼の名は永遠に語り継がれるでしょう。
そして、彼が残した功績とプレースタイルは、張本智和選手をはじめ国内外問わず、次世代の選手たちにとって永遠の手本となるに違いありません。
馬龍――彼の物語は、卓球史の中でも最も輝きを放つページとして、これからも多くのファンを魅了し続けることでしょう。
(文・富永陽介)