【ツギクルTリーガー】まずは実戦に出てアピールしたい 篠原夢空
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Tリーグ発足以来の6シーズンで5回の優勝を誇る”常勝軍団”、日本生命レッドエルフ(以下日生RE)。しかし、2024-25シーズンは今節まで7勝6敗の3位と苦戦しています。昨年までは早田ひな、伊藤美誠両選手が二枚看板としてチームを支えていましたが、伊藤選手は国際試合に主戦場を移すために退団、早田選手はパリ五輪での負傷が癒えずに不在と、精神的支柱を欠く状態で、チームの歯車が狂っている状態なのではないでしょうか。
今回はそんな日生REの救世主となるべく、新たにメンバー登録された”秘蔵っ子”、篠原夢空(しのはら・そら)選手を紹介いたします。
篠原選手は2006年9月に愛媛県で誕生しました。卓球経験者である父が、兄と姉を松山卓球教室に通わせていたこともあり、篠原選手は5歳から同教室でラケットを握り始めました。成長に伴い、卓球の実力も向上し、2016年の全日本卓球選手権大会カブの部女子シングルスで優勝を果たし、一躍同世代のトップに躍り出ます。
小学校卒業後は、卓球の修練の場として日生REのユース世代育成機関であるジュニアアシスト卓球アカデミーに入部するため、同機関の最寄りの大阪府の貝塚二中に進学します。この進路は篠原選手をさらなる飛躍に導きました。2019年の全日本卓球選手権大会カデットの部13歳以下女子シングルスで、当時「天才卓球少女」の名をほしいままにしていた張本美和選手(木下アビエル神奈川、以下KA神奈川)を破って優勝したのです。ゲームカウント0-2の劣勢をひっくり返した大逆転勝利での優勝で、篠原選手は次世代の女子卓球界を背負って立つ存在と見なされるようになりました。
2020-21シーズンからは日生REの選手としてTリーグにも参戦することとなりました。
順風満帆かに思われた篠原選手の卓球人生でしたが、中学時代から現在に至るまではやや伸び悩んでいる印象です。
中学3年時には、貝塚二中を全国中学校卓球選手権大会団体優勝に導きましたが、同大会の女子シングルスでは張本選手にリベンジされて準優勝に終わりました。他の大会でも目立った成績は残せていません。
高校は、大阪の香ヶ丘リベルテに進学し現在も在学中です。団体戦の一員として臨んだ今夏のインターハイでは、大阪府予選で10連覇中だった四天王寺高校を破り、勢いそのままに本戦でも優勝を飾りました。
また、高校2年時の全日本卓球選手権大会ジュニアの部女子シングルスでは3位入賞を果たしましたが、個人の成績としては現時点ではこの成績が最高位です。世代のトップランナーではあり続けていますが、残念ながら日本のトップにまでは至っていないというのが現状です。
Tリーグでの成績が現状を正直に反映しています。参入初年度の2020-21シーズンは出場なし。続く21-22シーズンはダブルスで初出場を果たしますが、未勝利に終わりました。そして、翌22-23シーズンも出場なしに終わると、23-24シーズンは選手としての契約が一旦終了してしまいます。
インターハイ団体優勝の勢いを買われて再契約した今シーズンですが、残念ながらいまだに出場が果たせていません。苦境が続く日生REには悪い流れを断ち切る起爆剤的な存在が必要で、篠原選手ならばその役割にうってつけではないかと思われます。今後の思い切った抜擢に期待しましょう。
篠原選手の戦型は右シェークドライブ型で、前陣での素早い攻撃が特色です。目標とする選手は、同じく前陣の速攻を得意とする平野美宇選手(KA神奈川)。篠原選手が平野選手を上回り、勝利を重ねることができれば、日生REの大逆転もまだあり得ます。篠原選手の今後の活躍に注目していきましょう。
篠原夢空(しのはら・ゆら)
2006年9月14日愛媛県生まれ。貝塚二中を経て、現在香ヶ丘リベルテ高校在学中。2019年全日本卓球選手権大会カデットの部13歳以下女子シングルス優勝、2024年インターハイ女子学校対抗優勝。2020-21シーズンから22-23シーズンまで日生REに所属し、1年のブランクを経て今シーズンより復帰。戦型は右シェークドライブ型で、前陣での速攻を得意とする。
(文・江良与一)