【ツギクルTリーガーの通信簿】「2年目のジンクス」に直面中 青木咲智
スポニティ
0
0
71
今週末に年内最終節を迎えるノジマTリーグ2024-25シーズンは好カードが目白押し。なかでも注目は、木下マイスター東京(以下KM東京)と、首位T.T彩たま、2位琉球アスティーダとの2連戦です。現在4位のKM東京にとっては上位再浮上のきっかけとしたい2試合ですが、上位2チームがそうやすやすと勝利を許すとは思えません。手に汗握るような熱戦を期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、青木咲智(あおき・さち)選手の現在地について紹介いたします。
2023年は青木選手にとっては大ブレイクの1年でした。早田ひな選手(日本生命レッドエルフ)以来6年ぶりとなる、1年生でのインターハイ女子シングルス優勝をはじめ、WTTユースコテンダーイタリアではU17女子シングルスで優勝。WTTユースコテンダーハンガリーでは、U17女子シングルス、U19女子シングルスでともに優勝と、国内外に名を轟かせました。
そして、日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)の誘いに応じてTリーグへの参入も果たし、大藤沙月選手とのペアでダブルス4試合に出場、全試合に勝利するという好成績を挙げました。ルーキーイヤーとしては上々の出来と言ってよく、大いなる飛躍が期待されて2024年を迎えました。
しかし、残念ながら今年は「2年目のジンクス」にハマってしまっているような印象があります。レジェンド石川佳純さん以来となる、3連覇を目指して出場したインターハイではベスト8で敗退。国際試合でもシングルスでは目立った成績は残せませんでした。
一方、ニッペMでもチームメイトである、伊藤詩菜選手とのペアで挑んだインターハイ女子ダブルスでは優勝を果たしました。四天王寺高校、ニッペMの先輩である横井咲桜選手とのペアで臨んだWTTフィーダープリシュティナ女子ダブルスでも優勝。Tリーグでハイレベルなダブルスを経験したことが、この二つの優勝に大きく寄与していると考えられます。着実に進歩はしているものの、2023年の成績があまりにも素晴らしかったが故に、伸び悩みに見えてしまうという、ある意味、非常に贅沢な悩みを抱えているという状態です。
2シーズン目となったTリーグでは、現時点でシングルス1勝0敗、ダブルス2勝1敗という、大いに物足りない成績しか残せていません。しかもシングルスの1勝は、相手チームの選手が出場できなかったことによる不戦勝なので、実質的にはまだシングルスデビューは果たせていないのです。有力な選手がそろい、悲願の初優勝へと突き進んでいるニッペMでは、出場することすら難しいというのが、今の青木選手の立ち位置です。
青木選手の戦型は右シェークドライブ型で、フォアハンドからのドライブには威力があり、多くの場面で決め球となります。反面、バックハンドのショットには苦手意識があるようで、ツッツキでつなぐことが多く、中途半端な返球につけ込まれることが少なくありません。修練を重ねることにより、チキータなども時折織り交ぜた試合運びが見られるようになってはきているものの、まだまだ改善の余地は大いにあるようです。
ポイントごとにガッツポーズを見せ、自分をノセていくことで、気迫で相手を圧倒するのが青木選手のプレースタイルですが、この気迫に、バックハンドの技術の向上が伴えば、2度目の大ブレイクが現実味を帯びてきます。
青木咲智(あおき・さち)
2007年4月10日福岡県生まれ。四天王寺中学を経て、現在四天王寺高校在学中。2023年、1年生でインターハイ女子シングルス優勝。2024年のインターハイでは、伊藤詩菜選手とのペアで女子ダブルス優勝。2023-24シーズンよりニッペM所属。戦型は右シェークドライブ型で、フォアハンドからの強打が最大の武器。
(文・江良与一)