【ツギクルTリーガー】低迷する京都カグヤライズの救世主となれるか 中森帆南
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今回のツギクルTリーガーは、12月に入りようやく今シーズン初白星を挙げた京都カグヤライズ(以下京都K)で、主力選手としての活躍が期待されている中森帆南(なかもり・ほなみ)選手を紹介いたします。
中森選手は2003年8月に兵庫県で誕生しました。3歳から地元の名門チーム川西ギャラントムに入門し、競技生活を始めました。2013年の全日本卓球選手権大会カブの部で準優勝するなど、数々の大会で好成績を収めた中森選手は、小学校卒業後、より良い環境を求めて、名門四天王寺中学に進学します。
四天王寺中学では2年時、3年時に団体戦のメンバーとして全国中学校卓球大会優勝に貢献しました。また3年時には、同大会の女子シングルスで3位に入賞する活躍も見せました。高校はそのままもち上がりで四天王寺高校に進学。当時インターハイ6連覇中の絶対王者にあって、入学早々からレギュラーの座をつかみ、同高の連覇を8まで伸ばしました(2020年はコロナ禍のためインターハイ中止)。また2021年のインターハイでは、同級生であり、現在京都Kでチームメイトでもある、菅澤柚花里選手とペアを組んだダブルスで準優勝しました。
個人としてはなかなか頂点を極められないものの、高校時代までは順風満帆と言って良い卓球人生を送ってきた中森選手でしたが、四天王寺高校同級生の横井咲桜選手、一学年下の大藤沙月選手(ともに日本ペイントマレッツ)がTリーグ参入を決めた2021-22シーズンは、なぜかTリーグのチームからは声がかからず、高校卒業後は実業団の中国電力ライシスに入団して、新たなステージでの卓球人生を歩むこととなりました。
すると、入団早々の2022年度日本リーグビッグトーナメント女子ダブルスでいきなり優勝し、衝撃の「社会人デビュー」を果たしました。ペアを組んだ青木優佳選手とは1ヶ月前に練習を開始したばかり。しかも、中森選手は新入社員研修等で練習を抜けることも多く、ほとんど急造ペアと言って良い状態でしたが、数々の強豪ペアを撃破しての優勝は、中森選手のポテンシャルの高さを広く世の中に知らしめました。その後も、ライシスでの修練を重ねた中森選手は、今年の日本リーグビッグトーナメント女子ダブルスでは、井絢乃選手とのペアで2度目の優勝を果たし、その勢いを買われて京都Kに入団しました。
入団後は、早速主力選手としての扱いを受けているものの、現時点でシングルス2勝3敗、ダブルスは1試合のみの出場で敗戦と、Tリーグの手荒い洗礼を受けている状態です。そんな中でも、京都Kの今シーズン初勝利となった12月14日の九州アスティーダとの対戦ではしっかりと勝ち星を挙げるなど、フロントの期待に応えています。
中森選手の戦型は右シェーク異質攻撃型で、本人はアピールポイントを「力あり余るフォアハンド」だと語っていますが、周囲からは正確なコースどりのショットと、相手の意表を突くクレバーさを高く評価されています。2022年時のペア、青木選手からは、相手からの返球への対応の巧みさとミスの少なさを絶賛されています。幼少時から高い評価を得ていた技術力の高さと、要所要所での「力あり余るフォアハンド」とがうまく噛み合えば、Tリーグでの活躍はもとより、分厚い選手層を誇る日本女子選手の中で一気にトップに昇り詰める可能性もあります。今年大ブレイクした、中学・高校の後輩である大藤沙月選手の姿にも大きな刺激を受けているはずです。中森選手の京都Kを上位に引っ張り上げる活躍を期待しましょう。
中森帆南(なかもり・ほなみ)
2003年8月5日兵庫県生まれ。四天王寺中を経て四天王寺高校卒業。高校卒業後は実業団の中国電力ライシスに入団。2022年、2024年の日本リーグビッグトーナメント女子ダブルスで優勝。2024-25シーズンより京都Kに入団しTリーグに参戦。戦型は右シェーク異質攻撃型で、高い技術力とミスの少ない試合運びが特徴。
(文・江良与一)