【ツギクルTリーガーの通信簿】「Tリーグの壁」を乗り越えることができるか 萩原啓至
スポニティ
0
0
182
ノジマTリーグ2024-25シーズンは年末年始の戦いを終え、男子はT.T彩たまから琉球アスティーダ(以下琉球A)に、女子は日本ペイントマレッツから木下アビエル神奈川にそれぞれ首位が変わりました。シーズンもいよいよ終盤に入り、今後はより激しい順位争いが繰り広げられます。各チームの奮戦に期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、萩原啓至(はぎわら・けいし)選手にご登場いただきます。
2023年に全日本卓球選手権大会ジュニアの部男子シングルスで松島輝空選手(木下マイスター東京、以下KM東京)を破って優勝、インターハイでは愛工大名電高校を団体戦で優勝に導き、自身はダブルスで優勝、シングルスで準優勝と、堂々たる実績を挙げた萩原選手は、KM東京に入団し「大人」の戦場であるTリーグに意気揚々と参戦しました。
しかし、高校、ジュニアレベルではトップクラスの実力であっても、Tリーグのレベルにマッチするのは容易なことではなかったようで、2023-24シーズンはシングルス1試合のみの出場で敗戦と、「試運転」しかできず、ものの見事に「Tリーグ」の壁に跳ね返されて終わってしまいました。
2024-25シーズンも、最初の出場となったシングルスこそ、Tリーグ初勝利となる白星を飾り幸先良いスタートとなりましたが、その後は残念ながら、出ると負け状態で7連敗。現時点で、シングルス1勝3敗、ダブルスは4戦出場して全敗と苦境にあえいでいる状態です。
高校卒業後に進学した愛知工業大学においては、並いる強者たちを押しのけて、入学直後からレギュラーの座をつかみ、インカレでの団体優勝に貢献するなどの活躍をみせました。
また、2024年12月に行われた混合団体ワールドカップでは、日本代表選手の一員にも選出され、シングルス1勝、男子ダブルス2勝2敗、混合ダブルス5勝2敗と健闘し、日本代表の第2ステージ進出に貢献しました。着実に実力を蓄えており、確かな足跡も残してはいるのですが、それでもTリーグのレベルには追いつけていないというのが現状です。
萩原選手の戦型は左シェークドライブ型で、高校時代から意識して鍛えているという、強い体幹を活かした、強烈なドライブを連続して放つことができるというのが最大の強みです。特に、フォアからのドライブは強烈で、得点の決定打となることも多いようです。
反面、バックハンドのショットにはまだまだ改善すべき点が多いようで、つなぎやしのぎのショットとなってしまうことが多々あり、そこにつけ込まれての失点も少なくありません。本人もそのことは自覚しているようで、弱点修正のための修練には熱意を持って取り組んでいるようです。
学生生活、大学卓球部部員としての活動、Tリーガーとしての活動、国内外の各種大会への参加と、スケジュールは過密気味ではありますが、こうした状況をうまくマネジメントして、さらなる体幹強化、そして弱点克服のための修練の時間を捻出し、実力を高めていくことが「プロ」に求められる必須条件です。
過去6シーズン中4度の優勝を誇る「常勝軍団」KM東京は、現在首位琉球Aに勝ち点差10をつけられての4位と苦闘中ですが、萩原選手をはじめとした若手選手の伸び悩みがその一因と考えられます。萩原選手が、直面している「Tリーグの壁」をぶち破り、個人としてもKM東京としても、飛躍する姿を期待して応援していきましょう。
萩原啓至(はぎわら・けいし)
2005年11月3日岡山県生まれ。愛工大名電中学・高校を経て現在愛知工業大学在学中。2023年全日本卓球選手権大会男子ジュニアの部優勝。2023年インターハイ男子団体優勝、ダブルス優勝、シングルス準優勝。2023-24シーズンよりKM東京に入団。戦型は左シェークドライブ型で、強い体幹を活かしたフォアハンドのドライブが武器。
(文・江良与一)