【ツギクルTリーガー】人気者になる条件はすでに整っているのであとは勝つだけ 中村泉月


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全日本卓球選手権大会、今週はダブルスが開催されます。WTTシンガポールスマッシュと日程が重なってしまったため、そちらに出場する選手も多く、混合の「はりひなペア」(張本智和早田ひな)、女子の「Wみゆう」(長﨑美柚木原美悠)、「Wさっちゃん」(大藤沙月横井咲桜)、パリオリンピックで活躍した男子ペア戸上隼輔篠塚大登といったビッグカップルが観られないのは残念ですが、その分「新星」が誕生する可能性も高い大会です。熱戦を期待しましょう。


さて、今回は現在最下位の苦境にある、京都カグヤライズ(以下京都K)の主力選手として、厳しい戦いを続けている中村泉月(なかむら・みつき)選手を紹介いたします。


中村選手は2006年5月に東京都で誕生しました。幼少期から地元八王子の名門、丸善クラブに所属し、ラケットを握っていましたが、全国レベルの大会で活躍する他の「天才卓球少女」たちに比べると、さほど目立つ存在ではありませんでした。中学も全国に名を轟かせている卓球強豪校ではなく、地元の八王子市立第二中学を選択しました。潮目が変わったのは、2021年3月の東京優勝大会カデットの部女子シングルスで3位に入賞したことです。

これで、卓球で頂点を目指すとの決意が固まったようで、高校は親元を離れ、愛知県の強豪、愛知みずほ大学瑞穂高校(以下愛み大瑞穂)に進学します。愛み大瑞穂でのレベルの高い仲間たちとの修練の日々は、中村選手の世代のトップ選手への脱皮を促したようです。


2年時から団体戦のレギュラーに定着し、3年生となった今シーズンは遊佐美月選手とのペアで臨んだ女子ダブルスで、高校総体愛知県大会、東海高校総体ともに優勝。シングルスでは、この2大会でいずれも3位に入賞するなどの優れた成績を残しました。そしてその活躍が認められて、京都Kに迎えられ、現役女子高生Tリーガーとしてデビューしました。


入団後には、早速主力選手としての抜擢を受け、現時点でシングルス5試合、ダブルス10試合に出場しています。しかしながら、そこは世界でも屈指のレベルの高さを誇るTリーグ。なんといまだに1勝もできていないのです。Tリーグの厚い壁に、見事に跳ね返され続けていますが、内容的には、手も足も出ないといったような完敗はほんの僅かで、あと少しで勝利できたような競った試合が多く、入団初年度、しかも格上の選手にばかり挑む中ではじゅうぶんに健闘していると言えるでしょう。こうした拮抗した試合の数々は、中村選手の将来にとって貴重な財産となることでしょう。


中村選手の戦型は右シェークドライブ型で、フォアハンドからの強力なドライブが最大の武器です。愛らしい顔立ちに加え、サーブの失敗時などに思わず出てしまう、茶目っ気たっぷりの「泉月ポーズ」は大きな反響を呼びました。それゆえ、京都Kの公式インスタグラムなどへの登場回数も多く、すでにチームの「顔」といっても良い存在です。また、地元への貢献を活動の一つの柱にしている京都Kが、地元を中心とした企業や学校で開催している卓球教室への参加回数も多く、地元の方に深く愛される存在でもあります。

すでに、人気者になるための環境はじゅうぶんすぎるほどに整っているのですが、その人気を「本物」にするためには、何よりも勝利を積み重ねることが第一です。中村選手が、実力を蓄え、勝利し続け、京都Kを躍進させることができれば、卓球界に「中村泉月の時代」が訪れるかもしれません。


中村泉月(なかむら・みつき)
2006年5月29日東京都生まれ。八王子の名門丸善クラブで競技生活を開始、八王子市立第二中学を経て、現在愛み大瑞穂在学中。2024愛知県高校総体、東海高校総体女子ダブルスでいずれも優勝。同2大会での女子シングルスではいずれも3位入賞。戦型は右シェークドライブ型で、フォアからの強打が持ち味。サーブの失敗時などに見せる独特の「泉月ポーズ」が人気。


(文・江良与一)

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