【アナタの知らない卓球の世界】意外と知らない⁉ 世界ランキングの仕組みを紹介
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つい先日、日本のエース張本智和選手が、
世界ランキング3位に浮上したというニュースが卓球界を駆け巡り、大きな話題となりました。
卓球ファンなら一度は耳にする「世界ランキング」。
しかし、その仕組みや歴史について詳しく知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、卓球ファンなら知っておきたい世界ランキングについて深掘りしていきます。
世界ランキングの基本ルール
卓球の世界ランキングとは、国際卓球連盟(ITTF)という、世界の卓球を統括する組織が毎週火曜日に発表している、選手の強さを順位で示したものです。
選手にとっては非常に重要な指標で、オリンピックや世界卓球などの大会出場のチャンスやシード権を得るために欠かせないものとなっています。
選手の順位は、シングルスやダブルスなどの部門ごとに分かれており、試合での成績によって獲得できる「ポイント」の合計で決まります。
ただこのポイントについては少々複雑で、大会の「格」によって、獲得数が異なっています。
例えば、オリンピックや世界選手権など、卓球界で最も重要な大会で優勝すれば2000ポイントが与えられ、WTTチャンピオンズでは1000ポイントといった具合に、大会の「格(重要度)」が高いほど、獲得できるポイントも高く設定されているのです。
では、海外に遠征し、多くの大会に出てポイントを荒稼ぎしたらいい、と思うかもしれませんが、さにあらず。
実はこのポイントですが、獲得し続ければいいというわけではないのです。
理由は、1年間に獲得したポイントのうち、成績が良かった8大会分のポイントだけしか、ランキングに反映されないためです。
しかもこのポイントには、1年間という有効期限があります。
そのため、大会にたくさん出場することよりも、少ない大会で良い成績を収めることが重要となってきます。
世界ランキングの歴史
この世界ランキングですが、初めて導入されたのは1928年のこと。
当時は世界選手権の成績が中心であり、まだシンプルな仕組みでした。
その世界ランキングが大きく変わったのが2018年。それまであったレーティング制から、トーナメント勝ち上がりポイント制へと移行しました。
これにより、過去の成績ではなく、直近の大会結果がより重視される仕組みへと生まれ変わり、選手の実力がリアルタイムに反映されるようになったのです。
過去に1位となった日本人選手
これまでの世界ランキングで、日本人で1位になった選手はいるのでしょうか?
答えはYesです。世界ランキング1位には、過去多くの日本人選手が名が連ねています。
男子シングルスでは、1952年に佐藤博治選手が初めて1位となり、荻村伊智朗選手(1954年、1956年)、長谷川信彦選手(1967年、1968年)らがその栄誉を手にしました。
また、女子シングルスでは、1956年に大川とみ選手が1位に輝き、続いて江口冨士枝選手(1957年、1958年)や松崎キミ代選手(1959年)らが獲得。
多くの選手が世界ランク1位を記録してきました。
しかし、1980年に小野誠治選手が1位となったのを最後に、以来40余年にわたり日本人選手は世界ランキング1位に到達できていません。
近年では、張本智和選手や伊藤美誠選手が上位にこそランクインするものの、1位奪取は依然として高い壁となっているのが実情です。
まとめ
今回、卓球の世界ランキングの仕組みについて紹介してまいりましたが、実はこのランキングの仕組み自体にもいくつか課題があります。
特に、海外遠征が続くと移動や環境の変化が、選手にとって大きなストレスになっているという側面が指摘されることは少なくありません。
それでも、この世界ランキングがあるからこそ、私たちは日々、選手たちが全力で戦う姿を堪能できていることも事実でしょう。
選手たちの奮闘とともに、世界ランキングの動向と日本人選手による悲願の1位獲得、そしてランキングの仕組み自体の行方にも、注目していきたいですね。
(文・富永陽介)