【ツギクルTリーガーの通信簿】ブレイクまであと一歩のところで足踏み中 面手凛
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ノジマTリーグ2024-25シーズン女子の新年2節目は、日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)が木下アビエル神奈川(以下KA神奈川)との首位攻防戦を含め2連勝し、首位を奪還しました。男子は、首位琉球アスティーダが2連敗したものの辛うじて首位を守りましたが、上位3チームの勝ち星がピッタリと並ぶ大混戦となっています。今週末、来週末は全日本卓球選手権大会実施のためTリーグは小休止期間に入ります。再開後の熱戦を期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、首位ニッペMと熾烈な首位争いを繰り広げるKA神奈川の面手凛(めんで・りん)選手に登場いただきます。
面手選手は小学校時代から、国内外の数々の大会で好成績を収め、将来を嘱望される存在でした。そして地元岡山の名門校、山陽学園中学2年生の時に、それまでの実績とポテンシャルの高さを評価されて、強豪KA神奈川に入団し、Tリーガーとしての歩みを始めました。
すでに今シーズンで在籍4シーズン目となる「ベテランTリーガー」ではあるのですが、残念ながら、そのポテンシャルをじゅうぶんに発揮しているとは言えないのが現状です。昨シーズンまでの3シーズン通算でシングルスは1勝5敗、ダブルスは2勝1敗と、有力選手がひしめくKA神奈川にあっては、出場機会すら満足に与えられない状態が続いています。今シーズンも、現時点ではシングルスのみ3試合の出場で1勝2敗という結果しか残せていません。入団早々から、当時のエースだったレジェンド石川佳純さんとペアを組んでダブルスに出場するほど、高い期待をかけられていた面手選手ですから、現在の成績は大いに物足りません。
ただし、KA神奈川での修練の日々は、着実に面手選手の実力の向上にはつながっているようです。2022年、中学3年時の全国中学校卓球大会では、山陽学園中の団体3位入賞の原動力となりました。また、全日本卓球選手権大会ジュニアの部女子シングルスでは3位入賞を果たしました。高校はそのまま持ち上がりで山陽学園高校に進学しました。国内大会では、インターハイ女子シングルスでベスト8に進出したのが目立つ程度でしたが、国際試合では、WTTユースコンテンダー・リニャーノのU19女子シングルス優勝、WTTユースコンテンダー・パナギュリシテではU19女子シングルス、U17女子シングルスともに優勝。WTTユースコンテンダー・プラッジャダロでもU19女子シングルス優勝、そして世界ユース選手権では、U19女子団体の一員に選ばれ銀メダル獲得に貢献するなど、無類の強さを発揮しました。
2024年に入ると、全日本卓球選手権大会ジュニア女子シングルスで張本美和選手に敗れて惜しくも準優勝。インターハイ女子シングルスでは前年と同じベスト8止まりでしたが、ダブルスでは3位入賞、団体戦でも3位入賞の中心選手として活躍しました。
面手選手の強みは、長いリーチを活かしたフォアからの強打を連続できるところにあります。バックハンドではしっかりと回転をかけた球を返し、相手にチャンスを与えない巧みさも兼ね備えています。回転の見極めが難しい巻き込みサーブも大きな武器で、サービスエースを奪う場面も度々見られます。
技術的な裏付けはしっかりとできているため、あと一歩踏み出すことができれば、大ブレイクを果たすというところにまでは進んできているのです。あと一歩のために何が必要なのかは、KA神奈川、山陽学園高校での修練が答えを出してくれるでしょう。
面手凛(めんで・りん)
2007年12月31日岡山県生まれ。山陽学園中学を経て、現在山陽学園高校在学中。母親の影響で3歳から卓球を始め、2017年全日本卓球選手権大会カブの部女子シングルスで優勝し注目を浴びる。2024年同大会女子ジュニアの部シングルスで準優勝。戦型は右シェーク攻撃型で、強力なフォアとコントロールされたバック、回転の読みづらい巻き込みサーブが武器。
(文・江良与一)