【ツギクルTリーガー】奮戦もTリーグの厚い壁に跳ね返され続ける日々 栗山優菜


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ノジマTリーグ2024-25シーズンは第2節を終え、男子は木下マイスター東京が2連勝、女子は木下アビエル神奈川が最大のライバル日本生命レッドエルフを下し、男女ともに「木下」の名がつくチームが上々の滑り出しを見せています。とはいえシーズンはまだ始まったばかり。最後の最後まで覇権の行方がわからないような熱いリーグ戦を期待しましょう。

さて、今回は残念ながら開幕2連敗を喫した九州アスティーダ(以下九州A)で主力選手として奮闘中の栗山優菜選手(くりやま・ゆな)選手を紹介いたします。

栗山選手は2006年4月に福岡県で誕生しました。幼い頃から数々の大会で大活躍していた栗山選手は2016年の全日本卓球選手権大会カブの部女子シングルスでベスト4に残り、一躍時代を担う選手と目されるようになりました。2018年の同大会ホープスの部女子シングルスでもベスト4入りし、安定した力を見せるようにはなりましたが、世代のトップにまではあと一歩のところでのぼり詰められないまま「ブロンズコレクター」の座に甘んじることとなります。

中学は地元の強豪、福岡女学院に進学。全国大会の常連ではありましたが、ここでもあと一歩の壁が破りきれず、2019年の全日本卓球選手権大会カデットの部女子ダブルスでベスト4に残ったのが最高の成績と、再びブロンズコレクターぶりを発揮してしまいます。高校はより良い環境を求めて愛知県の強豪桜丘高校に進学します。レベルの高い仲間たちとの日々の練習で磨かれた技術、そして親元を離れての生活で培われた精神的な強さが、栗山選手の「あと一歩」を後押ししたようです。2023年のインターハイで女子シングルス、女子ダブルスで準優勝を果たしました。そしてその勢いそのままに、地元密着を標榜する九州Aに入団し、Tリーガーとしての歩みを始めることとなりました。

九州Aでは入団直後からルーキーではなく主力選手としての扱いを受け、シングルス11試合、ダブルス6試合に出場しました。しかし、残念ながらシングルスは1勝10敗、ダブルスは未勝利で6敗と、Tリーグの厚い壁に跳ね返される結果となりました。このTリーグの強烈な洗礼はTリーグ以外の卓球生活にも深刻な影響を与えました。自身のプレーに対しての自信を失い、卓球と向き合うのが怖いとさえ感じられたそうです。精神面の不調が波及したのか、体調を崩して練習すらできない時期もあったとのことでした。2024年のインターハイ予選は、東海地区から全国大会に出場する選手8人中6位とギリギリで通過。全国優勝を狙おうという選手としては屈辱的とも言える成績でした。そんなどん底状態を脱することができたのは、高校のチームメイトたちの励ましのおかげでした。特に高校の寮でのルームメイトである趙清竹選手は、練習にとことん付き合ってくれたり、常に励ましの言葉をかけてくれたりと、栗山選手の復活を支えてくれました。そして2024年のインターハイでは女子シングルスで3位と「復活」を果たしました。そして2024-25シーズンも主力として戦いに臨んでいます。前節の九州シリーズではシングルス1試合、高校の後輩でもある山室早矢選手とペアを組んだダブルス2試合に出場しました。残念ながら3戦全敗には終わりましたが、一度どん底を味わい、そこから復活してきた今シーズンは、打ちのめされっぱなしだった昨シーズンとはひと味違う戦いを見せてくれるはずです。栗山選手の躍進なくしては九州Aの上位進出はあり得ません。栗山選手のブレイクを期待して応援していきましょう。


栗山優菜(くりやま・ゆな)
2006年4月20日福岡県生まれ。福岡女学院中学を経て、現在愛知県の桜丘高校在学中。2023年インターハイ女子シングルス準優勝、2024年の同大会女子シングルスでは3位。2023年シーズン途中から九州Aに入団。戦型は左シェークドライブ型で威力十分のフォア強打とサービスからの速攻が特色。


(文・江良与一)

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