【ツギクルTリーガー】盟友とのペアでTリーグに参入のオールドルーキー 西康洋
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ノジマTリーグ2024-25シーズンは、今週末の小休止を挟み、次節からはいよいよ上位人同士の星の潰し合いが始まります。また、年明け早々には各種目の日本一を決める大一番、全日本卓球選手権大会が控えています。まさに卓球シーズン真っ盛り。出場する選手の奮闘と、新しいスターの誕生を大いに期待したいところです。
さて、今回のツギクルTリーガーは、中学生デビューが珍しくないTリーグにおいては、異例とも言える大卒3年目でのデビューとなったオールドルーキー西康洋(にし・やすひろ)選手を紹介いたします。
西選手は1999年4月に北海道で誕生しました。4歳からラケットを握りはじめた西選手は、地元苫小牧の佐藤クラブで研鑽をつみ、小学校時代から将来を嘱望される存在でした。中学はより良い環境を求め、故郷を遠く離れた高知県の明徳義塾中学に進学します。高校はそのまま持ち上がりで明徳義塾高校へ進学。この6年間は、全国中学卓球選手権大会や、インターハイなどの県予選では抜群の強さを発揮し、学校対抗地区代表の座を他校に譲ることはありませんでした。
高校卒業時は、ちょうどTリーグが発足する時期に重なっていましたが、個人としての実績にずば抜けたものがなく、また、発足当初のTリーグは男女ともに4チームずつとチーム数も少なかったため、残念ながら、その時には西選手獲得に手を挙げるチームはありませんでした。
高校卒業後は明治大学に進学。明治大学での4年間は西選手を大きく成長させたようです。一年時からレギュラーの座をつかみ、各種の大会で好成績を収めると、4年時には主将として、個人はもとより、チームを勝利に導く役割を担いました。この年のインカレで明治大学は、団体戦で王者・愛知工業大学をマッチカウント2-3まで追い詰める大接戦を演じて、堂々の準優勝。また、同大会では4年間ペアを組み続けた、菅沼湧輝選手との男子ダブルスでも準優勝を果たしました。団体戦では、2-2で回ってきた最終マッチで髙見真己選手(現金沢ポート)に敗れ、自らの敗戦でチームが敗れるという悔しさを味わいました。また、ダブルスでは目標を「ベスト4進出」としていたため優勝に届かなかったことで、目標を高くもつことの大切さを学ぶこととなりました。
技術、精神面ともに高いレベルに達したところで大学卒業。ひと区切りついたところで改めてTリーグへ、となってもおかしくありませんでしたが、ここでも残念ながらTリーグ入りは果たせず、実業団チームの日野キングフィッシャーズへ入団します。
西選手の戦型は左シェークドライブ型で、バックハンドからのドライブには威力があります。日野入団後は、チーム名キングフィッシャーの和名であるカワセミにあやかり、得意のチキータを「カワセミチキータ」と命名しました。そして、日野での修練の結果が実り、今年の全日本社会人卓球選手権大会では、同学年の川上尚也選手とのペアで男子ダブルスを制しました。
この優勝で、「三度目の正直」として静岡ジェード(以下静岡J)に、川上選手とともに入団する運びとなりました。静岡Jのチーム名Jadeは、英語で宝石の一種である「翡翠」を意味する言葉ですが、「翡翠」という文字は「ヒスイ」と同時に「カワセミ」とも読みます。カワセミチキータを必殺技としている西選手とは、いずれ結ばれる運命にあったのだと思わざるをえません。
西選手は静岡J入団後、シングルス、ダブルスともに1試合ずつ出場して、まだ勝ち星なしと結果は出ていません。しかし、ようやくつかんだTリーガーの座を簡単に手放す気は毛頭ないでしょう。カワセミは、その姿の美しさから“渓流の宝石”と称されていますが、同時に獲物に飛びかかる素早さから“渓流のヘリコプター”の異名をとります。西選手のカワセミチキータが、“台上のヘリコプター”と呼ばれるような鋭さに進化し、活躍を続けていけば、静岡Jの上位進出も遠い日のことではないでしょう。
西康洋(にし・やすひろ)
1999年4月17日北海道生まれ。明徳義塾中・高を経て明治大学卒業。大学4年次のインカレで団体準優勝、男子ダブルス準優勝。2024年の全日本社会人卓球選手権大会男子ダブルス優勝。戦型は左シェークドライブ型で、バックハンドのショットには定評があり、特に「カワセミチキータ」が得意。
(文・江良与一)