【ツギクルTリーガー】挫折をバネに、一気にトップ選手へ 大川真実


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【ツギクルTリーガー】挫折をバネに、一気にトップ選手へ 大川真実


10月2日まで行われていたアジア競技会では張本美和木原美悠選手ペアが13年ぶりの銅メダル、早田ひな選手が57年ぶりの銀メダルを獲得したのを始め、日本選手の躍進が目立ちました。そして今月末からはTリーグが再開します。大きな大会で経験値を積み上げた選手たちの一段レベルの上がった戦いを期待しましょう。

さて、今回は日本ペイントマレッツ(以下日本PM)でTリーガーとして3シーズン目を迎える大川真実(おおかわ・まみ)選手を紹介いたします。

大川選手は2003年2月に徳島県で誕生しました。ポスト黄金世代の一番手長﨑美柚選手と同学年です。実業団の卓球選手だった父の影響で4歳からラケットを握った大川選手は、地元福島小6年の時に東アジアホープスに出場したことで注目を浴びました。
そして、より良い練習環境を求め、親元を離れ大阪の名門四天王寺中学に進学。高いレベルに身を置いた大川選手は、サウスポーであったことも幸いし、特にダブルスで活躍します。中学2年時には全日本選手権カデットの部女子ダブルスで優勝。四天王寺高校進学後、2年時にインターハイの女子ダブルスで優勝しました。
大躍進が期待された高校3年時はコロナ禍でインターハイが中止された上、チームとしての練習もままならないという状況に追い込まれました。思わぬ肩透かしを喰らった形になりましたが、大川選手は腐らずに、自宅で一人でコツコツ練習を続けたそうです。

そうした努力もあって、愛知工業大学進学と同時に2021-22シーズンからトップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)に入団。大学生とTリーガーという二足の草鞋を履くこととなりました。
2021年、全日本学生選手権ではシングルスベスト8、ダブルス3位と安定した成績でしたが、シングルス10試合、ダブルス12試合を任され、エースとしての期待を背負ったTOP名古屋では、シングルス2勝8敗、ダブルス3勝9敗という非常に残念な結果に終わりました。ファンの落胆もさることながら、一番打ちのめされたのは本人でしょう。

そしてこの苦闘は現在まで続いています。2022-23シーズンからは日本PMに移籍して心機一転を図りましたが、シングルス一試合のみの出場で勝利なしに終わり、23-24シーズンは現時点でまだ出場がありません。

大川選手の戦型は左シェークドライブ型で、ラケットの動きからだけでは変化を想像することが難しい回転の巻き込みサーブが大きな武器です。この巻き込みサーブを駆使して、サービスエースを狙うか、相手からのチャンスボールを引き出して3球目攻撃に繋げるというのが得意な戦法です。また、バック、フォアともに巧みにコーナーを突くテクニックに長けており、簡単にはチャンスボールを返さないつなぎのプレーが身上で、特にダブルスでの活躍が期待されています。
苦闘が続く現在は、周囲からの大きな期待をプレッシャーに感じることもあるかもしれませんが、コロナ禍で練習すらままならなかった時期にコツコツと努力を重ねていた大川選手ですから、現在のアジア競技会による中断の間も、絶え間なく腕を磨いているのだと思います。大川選手が「ダブルスの名手」の名をほしいままにする日を期待して応援していきましょう。

大川真実(おおかわ・まみ)
2003年2月28日高徳島県生まれ。四天王寺中学・高校を経て現在愛知工業大学在学中。2021-22シーズンよりTOP名古屋に入団。2022-23シーズンからは日本PMに移籍。戦型は左シェークドライブ型で、巧みなサーブとつなぎの技術には定評があり、ダブルスの名手と言われている。


(文・江良与一)

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