【アナタの知らない卓球の世界】なぜ強い?卓球王国中国の強さの秘訣とは?
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「卓球といえば中国」
この言葉通り、近年卓球は中国選手が多くの結果を残しています。
しかし、この流れはもとからあったものではなく、徐々に強国になっていったと言われています。
今回は中国が卓球王国たる由縁について解説します。
中国における卓球の歴史
中国に卓球が渡ったのは、1900年代初頭、日本で流行していた卓球が中国に広がったことがきっかけと言われています。
またその勢いを加速させた要因として、建国間もない中国政府による卓球の国技認定があげられます。
その影響はすさまじく、1959年の世界選手権で優勝した容国団選手を皮切りに、現在まで卓球王国の地位を確立しています。
なぜ中国が強いのか?
卓球王国中国が最強で居続けられる理由、それは幼少期からスタートする育成システムが明確に構築されていることにあります。
中国ではスポーツ全般を統括する「国家体育総局」という国家組織があり、国主導で有望な逸材の早期発見、それぞれ世代ごと専従したプロの指導者のもとで英才教育を行っています。
そのエリートに選ばれた選手は1日すべてを卓球漬けで過ごしていくそうで、技術面だけでなく、メンタルも鍛えられます。
また、卓球の練習を行うために、かなり大きな体育館と数百人規模の卓球台を国が無償提供するなど環境面での整備も優れています。
しかも、1995年にプロリーグ(中国スーパーリーグ)を発足させ、現役選手の競争の場を提供することで、選手間の相互向上の場を設けています。
中国では卓球で結果を出し続けるために、ハード面でもソフト面でも、ジュニア、ユース、プロ、すべての選手に最高の環境を提供しています。
だからこそ、中国は王者で居続けられるのです。
卓球王国日本に返り咲くために必要なこと
ここまで中国が卓球王国たる由縁を紹介してきました。
ただ、これは中国政府の全面的なバックアップのために環境が整えられているのであって、中国と同じように変化をすることは資金面などの問題から難しいと考えられます。
しかし、今日本は多くの卓球関係者の助けのもと、日本独自の育成システムの構築が行われています。
実際にTリーグが発足した事で、「木下卓球アカデミー」や「静岡ジェードネクスト」などのプロチームが管理する若年層を育成するアカデミー組織が出来上がってきたことや、指導者育成のための研修の実施など、日本独自の選手育成システムが出来上がってきているのです。
その成果は、アカデミー組織から松島輝空選手や、牧野美玲選手などがTリーガとして、そして世界で結果を出すなど、徐々に現れ始めています。
日本には、昔から部活動という独自の文化があり、同世代で競い合うトーナメントが存在します。
この部活動とアカデミー組織との結びつきや、選手育成システムの構築によって、日本はより優れた選手を育成し、高い成果を上げていけるかもしれません。
最後に
ここまで中国の強さの秘訣と、それにどう立ち向かっていけばいいのかを考察してきました。
多くの強力な選手が近年出てきてはいますが、いまだに世界卓球やオリンピックなど主要大会では中国選手に個人戦で土を付けることが出来ていません。
それは前述した通り、中国選手団の育成システムの賜物と言えるでしょう。
しかし日本は日本にあった独自のシステムの構築によって、王者に迫ろうとしています。
それを支えるためには、卓球選手たちを盛り上げ、声援を送ることも大切です。
個人金メダルを掲げる選手が現れるその日を信じ、応援し続けていきましょう。
(文・富永陽介)