【ツギクルTリーガー】ブロンズコレクターからポスト黄金世代のエースへ 横井咲桜
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1月28日まで開催されていた全日本卓球選手権は、男子シングルスで張本智和選手(琉球アスティーダ)、女子シングルスで早田ひな選手(日本生命レッドエルフ)の両エースが優勝し、この両名のほか、戸上隼輔選手(木下マイスター東京)、平野美宇選手(木下アビエル神奈川)がパリ五輪の代表選手に決まりました。男女ともに3人目の代表が誰になるかが注目を集めていますが、その前に、いよいよノジマTリーグ2023-24シーズンが再開されます。パリ五輪の次、ロサンゼルス五輪を狙う選手たちの熱戦を期待しましょう。
さて今回は、全日本卓球選手権で2年連続ベスト4入りした横井咲桜(よこい・さくら)選手(日本ペイントマレッツ、以下ニッペM)を紹介いたします。
横井選手は2004年4月に岐阜県で誕生しました。小学校時代から、地元の名門クラブO.T.T.Cで腕を磨いていた横井選手は、2014年の全日本卓球選手権カブの部女子シングルスで3位、2016年の同大会カデットの部女子シングルスで3位などの成績を収め、頭角を現します。ただ、ここで2位以上に進出できなかったことで、悪い「癖」にでもなってしまったのでしょうか、その後の横井選手には重要な大会での「3位の壁」が度々立ち塞がることとなります。
中学は大阪の強豪四天王寺中学へ進学。同時にミキハウスJSCにも所属し、卓球の英才教育を受けます。その甲斐あって、2018年の全国中学校大会では、四天王寺中学の団体優勝のメンバーとして活躍しますが、同年の全日本選手権大会カデットの部14歳以下では女子シングルス 、ダブルスともに3位。2019年の全国中学校大会女子シングルでも3位。見事なまでのブロンズコレクターぶりです。頂点まであと一歩のところまで行くのに、どうしても最後の壁を突き破ることができない。周囲の目もさることながら、本人が一番歯痒さを感じていたことでしょう。
高校は持ち上がりで四天王寺高校へ進学。そして、2020年の全日本選手権大会ジュニアの部女子シングルスでも3位と、「3位の呪縛」から逃れられませんでした。
大きな転機となったのが2021年。この年から横井選手は九州アスティーダ(以下九州A)に入団し、Tリーグに参戦することになります。九州Aでは入団早々から主力選手に抜擢されシングルス21試合に出場します。残念ながら7勝14敗と大きく負け越しましたが、世界でも屈指のレベルを誇るTリーグを体験したことで一皮むけた横井選手は、インターハイの女子シングルス、ダブルス(パートナーは大藤沙月選手・ニッペM)ともに優勝を飾り、学校対抗でも四天王寺高校を優勝へ導きます。そして、同年の全日本選手権大会ジュニアの部女子シングルスで準優勝。ここでついに、ブロンズコレクターとの決別を果たしたかに思えました。しかし、2022年インターハイでは団体戦、ダブルスこそ連覇を果たしたものの、シングルスではまた3位に終わり、有終の美を飾ることはできませんでした。またこの年、九州AからニッペMへ移籍しています。
大学進学はせず、プロ卓球選手として歩むことを選択した横井選手は、全日本選手権大会という最高のステージで2023年、そして今年と2年連続して3位入賞を果たしました。残念ながらパリ五輪の代表には間に合いませんでしたが、次回ロサンゼルスの主力選手としては大いに期待できる選手です。今回決勝進出を阻まれた張本美和選手を倒し、ブロンズコレクターの座に甘んじないような今後の活躍を期待しましょう。
横井咲桜(よこい・さくら)
2004年4月23日静岡県生まれ。四天王寺中学、高校を経て現在ニッペM所属。2023、24年の全日本選手権大会女子シングルスで2年連続3位。戦型は右シェークドライブ型で、変化の読みにくい巻き込みサーブからの3球目攻撃、相手サーブをツッツキで返して、返ってきた好球を鋭くドライブさせる4球目攻撃が特長。
(文・江良与一)