【アナタの知らない卓球の世界】代表落選の原因は? 伊藤美誠選手が勝てなかった理由を徹底考察
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日本卓球協会は2月5日(月)、今年開催されるパリ五輪の代表選手3名を発表しました。
女子代表は早田ひな選手と平野美宇選手がシングルスに選ばれ、団体戦のメンバーには張本美和選手が選出されました。
この選考により、東京五輪で3つのメダルを獲得した伊藤美誠選手がパリ五輪の出場を逃すこととなりました。
このニュースは国内外で大きな波紋を呼び、卓球王国として知られる中国でも衝撃をもって受け止められました。
今回は伊藤美誠選手がなぜ代表選考から落選するに至ったのかについて、考察してみたいと思います。
落選の理由
あくまで筆者個人の考察となりますが、落選理由には大きく分けて
・体調面
・戦術面
・プレッシャーによる焦り
の3つが挙げられるかと思っています。
ここからはそれぞれについて解説していきます。
・体調面
伊藤美誠選手は選考期間中、体調が整っていなかった可能性があります。
彼女は以前から臀部と腰の怪我に悩まされ、まともに試合できる状態ではありませんでした。しかも怪我が治癒したかに思えた年末には、風邪による体調不良などが重なってしまい、到底ベストコンディションとは言えない中での戦いとなっていました。
実際、彼女自身の口からもその影響についての言及があり、「昨年腰を痛めて、気をつけていたが、正直結構体には来ていた。」といったコメントも聞かれています。
・戦術面
続いて挙げられるのが戦術面です。
彼女は元々、「みまパンチ」に代表されるように短期速攻型を持ち味としたプレースタイルで戦ってきました。
ただ東京五輪後に、中国選手をはじめ海外の選手が対策をし始めてからは敗戦が続いてしまいます。
その対策として、彼女は数年前からラリー戦にも対応できるようなスタイルへのモデルチェンジを試みるようになります。
しかしこの変化が彼女の勢いを損ない、戦術の幅を広げることで自身の特徴を見失ってしまったと考えられます。
無理をして苦手なラリー戦を継続してしまったことで強打の勢いが落ち、しかも相手も速攻型の戦いにも慣れてしまい、余計苦手なラリー戦に持っていかれてしまい、国内で勝てなくなりました。さらに、打開策を客観的にアドバイスしてくれるコーチの不在という事態が、輪をかけて彼女の状況を苦しいものにしていきました。
一辺倒の戦いを続けてしまった結果、彼女は大事な場面で格下と思われる相手にも惜敗が続くという、負のループに陥ってしまいました。
・プレッシャーによる焦り
最後に、メンタル面のプレッシャーも彼女の戦いに影響を与えていたと考えられます。
同世代には、早田ひな選手、平野美宇選手など多くの有望選手がいる現状、はっきり言ってこれまでのどの世代よりも勝ち抜く事が難しい選考だったと言ってもいいでしょう。
ただ東京オリンピックでの結果により彼女はその世代でもトップ、言い換えれば日本のエースとなるべき存在として、周囲からの期待がかけられていました。
そんな周囲の期待に応えるために結果を求め続けるあまり、不安や焦りが彼女を変えていきます。
実際にそれは彼女のプレー態度にも表れており、ここ2年は特にプレー中のイラ立ちが表面化するシーンを、筆者も多く目の当たりにするようになったと感じています。
そうした焦りも、今回の原因の一端にはあると言えるでしょう。
まとめ
総括すると、今回伊藤美誠選手が代表に選ばれなかった理由は複数あります。
ただ彼女はまだ若く、この経験は必ずや次回のロサンゼルスオリンピックに活かされることと思います。
これからの彼女の活躍に期待したいところですが、まずはゆっくりと休息を取り充電をしてから、次を目指して準備を進めていってほしいと思っています。
(文・富永陽介)