【ツギクルTリーガー】オリンピック代表「第3の男」は天才肌のサウスポー 篠塚大登
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全日本卓球選手権開催による中断期間も終わり、2月2日からノジマTリーグ2023-24シーズンが再開されました。再開早々ヴィクトリーマッチにもつれ込む対戦が続出し、順位争いは熾烈を極めています。シーズン終盤に向けてますますの熱戦を期待しましょう。
さて今回は、2024年パリ五輪の日本代表「第3の男」に選出された篠塚大登(しのづか・ひろと)選手(木下マイスター東京、以下KM東京)を紹介いたします。Tリーガーとしては「ツギクル」ではなく、すでに堂々たる実績のある選手ではありますが、改めて経歴をおさらいしておきましょう。
篠塚選手は2003年12月に愛知県で誕生しました。5歳の時に、高校教師であった父親が当時在籍していた高校の卓球部の顧問にたまたま就任したことがきっかけで、自宅の近所の卓球クラブでラケットを握ることとなります。そのクラブで天稟を見込まれた篠塚選手は小学校1年生の時に名門卓伸クラブに送り出されます。そこで素質が開花した篠塚選手は全国大会の常連となります。2011年頃からは全国大会でも上位に進出するようになりますが、ここで篠塚選手の前に立ちはだかったのが、同じ歳の張本智和選手(琉球アスティーダ、以下琉球A)。2011年全日本卓球選手権バンビの部の準々決勝、2013年の同大会カブの部決勝、2015年の同大会ホープスの部準決勝でいずれも張本選手に敗れるという屈辱を味わいます。中学は強豪の愛工大名電中学に進学。全国の俊英たちが集まる同中学で揉まれたことで一皮むけた篠塚選手は、2017年の全日本卓球選手権カデットの部で優勝し、張本選手とともに、男子卓球界の屋台骨を支える選手と目されるようになりました。高校はそのまま持ち上がりで愛工大名電高校に進学。一学年上に曽根翔(T.T彩たま)、横谷晟(静岡ジェード)、同学年に谷垣佑真(岡山リベッツ)、濱田一輝(琉球A)ら錚々たるメンバーが揃う中で1年生からレギュラーの座を獲得し、2019年インターハイ男子シングルスで準優勝し、男子団体の優勝にも貢献しました。
高校在学中の2020年にT.T彩たまに入団すると、いきなり主力選手として抜擢されます。シングルスこそTリーグの壁に阻まれ1勝5敗と苦戦しますが、ダブルスでは11勝5敗と圧巻の活躍を見せます。10勝3敗の強さを誇った曽根翔選手とのペアは、2020-21シーズンのベストペア賞を獲得しました。2022-23シーズンからはKM東京に移籍し、ダブルスでは同シーズン14勝2敗、2023-24シーズンは2月7日現在9勝1敗と圧倒的な勝率を残しています。そしてシングルスでも9勝7敗、8勝4敗と勝ち星が先行し始めました。厳しい環境に身を置くことで着実に力をつけてきたのです。2024年の全日本卓球選手権シングルスでは、ライバル張本選手に準決勝で惜敗したものの堂々のベスト4入り、そしてパリ五輪代表選考ポイントでも3位に食い込んで、代表に選ばれました。Tリーグでの高い勝率、他の代表選手が二人とも右利きであることを考えあわせると、左利きの篠塚選手がダブルスで世界の強豪たちを撃破する姿が期待できそうです。
篠塚選手の戦型は左シェークドライブ型。台上の技術の高さはレジェンド水谷隼氏をも凌ぐとされています。両ハンドのラリーも安定しており、相手を揺さぶっておいて好球を誘い出してからのカウンター攻撃が持ち味で、3球目攻撃を数多くモノにするサーブの技術にも長けています。パリ五輪では「第3の男」ですが、ロサンゼルス五輪ではエースに成長しているかもしれません。
篠塚大登(しのづか・ひろと)
2003年12月23日愛知県生まれ。愛工大名電中学、高校を経て現在愛知工業大学在学中。2020-21シーズンにT.T彩たまに入団。2022-23シーズンにKM東京に移籍。特にダブルスでの勝率が高い(通算で39勝12敗)。戦型は左シェークドライブ型で、全てのテクニックが高い水準にある天才肌の選手。
(文・江良与一)