【ツギクルTリーガー】急成長中にして伸び代もたっぷり 坂井雄飛
スポニティ
0
0
1,262
ノジマTリーグ2023-24シーズン男子は、レギュラーシーズンを終え、プレーオフを残すのみとなりました。6年連続のレギュラーシーズントップ通過を決めた木下マイスター東京(以下KM東京)に挑むのは、2位の琉球アスティーダか3位の岡山リベッツか? そしてシーズンの覇者はどのチームになるのか? いよいよクライマックスです。
さて今回は、惜しくもプレーオフ進出は逃したものの4位と健闘した静岡ジェード(以下静岡J)のホープ坂井雄飛(さかい・ゆうひ)選手を紹介いたします。
坂井選手は2006年9月に沖縄県で誕生しました。小学校時代に沖縄県から岡山県に転校すると同時に、数々の名選手を輩出した岡山の名門クラブTCマルカワに入団し、頭角を現します。小学校卒業後はより良い環境を求めて、名門愛工大名電中学に進学。1年生時に、全日本卓球選手権カデットの部13歳以下男子シングルスで優勝する快挙を成し遂げます。強者揃いの愛工大名電中学にあって堂々の存在感を示し、2021年の全国中学校卓球大会男子シングルスで準優勝したのをはじめ、数々の全国大会でレギュラーとして活躍しました。なお、2021年の全国中学校卓球大会決勝で大接戦を演じ、惜敗した相手は1学年下の松島輝空選手(KM東京)。坂井選手と松下選手は今後もさまざまな舞台で、日本卓球史に残るような名勝負を繰り広げてくれることでしょう。
中学卒業後はそのまま持ち上がりで愛工大名電高校に進学し現在も在学中です。ここでも中心選手として着実に修練を積み、同高のインターハイ7連覇に貢献するとともに、個人としても急成長を遂げます。2023年の全日本選手権ジュニアの部男子シングルスで3位に入賞すると、同年のインターハイ男子シングルスでも3位入賞、そしてWTTユースコンテンダーオトチェツ大会男子シングルスU17の部では国際大会初優勝を果たします。
今まさに伸び盛りの坂井選手は、2023-24シーズンから静岡Jに入団し現役高校生Tリーガーとしてプレーすることになりました。2023年10月28日のKM東京戦、ベテランの大島祐哉選手とのシングルスマッチがデビュー戦で、この試合にフルセットの末勝利し、幸先のいいスタートを切りましたが、そこは世界でも屈指のレベルの高さを誇るTリーグ。伸び盛りの坂井選手といえども連戦連勝とはいかず、シングルスのみ7試合に出場して2勝5敗とほろ苦いデビューイヤーとなりました。しかし、各ステージにおいて、在籍数年後には必ず実績を残してきた坂井選手がこのまま終わるわけはありません。来季以降の飛躍につながる伸び代はまだまだ十分にありそうです。先ごろ行われた2024年の全日本卓球選手権ジュニアの部男子シングルスでも3位に入り、さらなる高みを目指す「準備」は整いつつあります。
坂井選手の戦型はオーソドックスな左シェークドライブ型で、ミスの少ない安定したラリーが持ち味。相手の読みの逆を突くドライブや、強打オンリーの一本調子ではなく、相手に思い通りのショットを打たせない緩急をつけたラリーも高い評価を受けています。今後の坂井選手の課題はメンタル面でしょうか。時に、慎重になりすぎるあまりに攻める気概を失い、守勢にまわってしまって、ずるずると失点を重ねる場面が見られます。大きな大会であと一歩のところで栄冠を逃し続けているのも、この「弱気の虫」が顔を覗かせるからのようです。技術の精度を今よりも高め、その過程で自信を身につけることができれば、日本のエースとなれるかもしれませんね。
坂井雄飛(さかい・ゆうひ)
2006年9月19日沖縄県生まれ。四天王寺中学を経て、現在四天王寺高校在学中。2023年、2024年と連続して全日本卓球選手権ジュニアの部男子シングルス3位入賞。2023-24シーズンより静岡J入団。左シェークドライブ型で、緩急をつけたラリーの巧みさには定評がある。
(文・江良与一)