卓球歴13年のスポニティライターが、今シーズンのプレーオフの試合結果を予想します。是非予想スタジアムの参考になさってください。



【3月24日（日）】

木下アビエル神奈川　3-2　日本生命レッドエルフ

木下アビエルは、ダブルスの選択肢が豊富にあり、まずどのペアを出場させてくるかがポイントに。
シングルスのWエースでもある平野美宇・張本美和ペアは、今年の全日本選手権では5回戦で敗れてしまい、試合後に「ペア歴がまだ浅い、練習量が足りていない」と両選手がコメントしたように、まだダブルスとしての完成度が低い状態です。何より、平野美宇選手か張本美和選手のどちらかが、シングルスに出場できなくなってしまうことを考えると、このペアが出場する可能性は低いでしょう。
木原美悠・張本美和ペア（昨年9月のアジア競技大会で、中国の孫穎莎・王曼昱ペアに勝利し３位入賞の実績あり）の線も、同様の理由から確率は低そう。
となると、ダブルスに有利な左利きと右利きのペアで、昨年の世界選手権ダブルス3位の長﨑美柚・木原美悠ペアを、チームは悩んだ末に選択してくるか。

対する日本生命レッドエルフは、シーズンを通して主力として出場し、Tリーグに適応し、チームからの信頼も築いてきたソンイジェン・ソンメイヨウペアを起用するとみます。昨シーズンのプレーオフ・ファイナルにもダブルスで出場し、ダブルスに有利な左利きの早田ひな選手を軸に戦う策も考えられなくはない場面ですが、もしラストまで回ったときのことを考え好調の早田ひな選手を温存する策を取ってくる可能性が高いでしょう。

この一戦を、ペア歴が長く連携の取れたプレーや、プレーオフ・ファイナルの独特の雰囲気に慣れている点で優位性のある長﨑美柚・木原美悠ペアがモノにすると予想します。

次に、比較的のびのびと思い切ってプレーのできる2番には、木下アビエルは勢いのある張本美和選手を出場させるでしょう。対する日本生命レッドエルフはエースの早田ひな選手を出場させて勝利し、チームに勢いをつけたいはずです。
その目論見通り、ここは相手の勢いや好プレーを抑え込む試合巧者の早田ひな選手が、年の功で張本美和選手をいなして勝利を収めます。

前回のプレーオフ・ファイナルでは、ラストの1セットマッチに持ち込まれて敗れてしまった日本生命レッドエルフ。そうした苦い経験からも、前半で一気に勝負をかけにくるはずです。ダブルスを取ってのあわよくば3-0ストレート勝ちを目論む布陣として、ここで伊藤美誠選手を出場させるでしょう。
一方の木下アビエルは、その安定感や1試合に集中できる点で3番が向き、先月の世界選手権でもこの位置で起用されることが多かった平野美宇選手をスタンバイ。
過去対戦も多く、実力のぶつかり合いというよりは戦略の戦いが予測されるこの試合は、先日のシンガポールスマッシュでも勝利した伊藤美誠選手に軍配が上がるとみます。

4番、ここで勝負を決めたい日本生命レッドエルフが起用してくるのはハンシキ選手。ただ、今季のTリーグで、野村萌選手や安藤みなみ選手に敗れるなどやはり表ソフトラバーを苦手とすることを露呈してしまっているハンシキ選手が、同じく表ソフトラバーを使う木原美悠選手に敗れ、ここを落とすでしょう。

ラストは平野美宇選手と早田ひな選手の1セットマッチ。先日のシンガポールスマッシュを見てもわかる通り、お互い手の内を知り尽くしている対戦では、いかに相手の良いところを出させないようにプレーするかがやはり重要です。早田選手は好調ではあるものの、その点においては平野選手が一枚上でしょう。戦術的に相手の長所を抑え込むのが上手い平野選手が、早田選手を上回り、激戦に決着をつけると予想します。


(文・干場卓哉)