【ツギクルTリーガーの通信簿】「第三の男」まであと一息 曽根翔
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ノジマTリーグ2024-25シーズンが8月24日に開幕し、女子は昨シーズンの雪辱を期す木下アビエル神奈川が日本生命レッドエルフに、男子は連覇を目指す木下マイスター東京(以下KM東京)が静岡ジェードに勝利しました。特に男子の開幕戦は4試合中3試合がフルセットにもつれ込むという大激戦でした。今後ますますの熱戦が繰り広げられることを期待しましょう。
さて、今回の通信簿は、T.T彩たまの大黒柱、曽根翔(そね・かける)選手にご登場いただきます。曽根選手は2023-24シーズン、シングルスは18試合に出場し9勝9敗、ダブルスは17戦して10勝7敗という成績を残しました。シングルスは英田理志選手の22試合に次ぐ出場数、ダブルスは最多出場という奮戦ぶりです。中でも小林広夢選手と組んだダブルスでは10勝6敗の好成績を修めました。ただし、参戦初年度の20-21シーズンにダブルスで11勝3敗、2年目の21-22シーズンにシングルスで11勝5敗の堂々たる成績を残したことを考え合わせると、やや物足りないという感は否めません。
明るい材料もなかったわけではありません。2023年1月に行われた全日本卓球選手権大会での3位入賞です。谷垣佑真、小野寺翔平(ともに岡山リベッツ)、吉田雅己(KM東京)、僚友の宇田幸矢といったTリーガーたちを破竹の勢いで破って準決勝進出。パリオリンピック出場の足固めと共に、初の栄冠への期待が大きく高まりました。
しかし、ここで曽根選手の前に立ち塞がったのは、幼少期からたびたび煮湯を飲まされて来た張本智和選手(琉球アスティーダ)でした。ゲームカウント1-4と力負けし、ブレイクを果たすことができませんでした。その後もパリオリンピックの選考ポイント付与対象の大会にコンスタントに出場し、それなりのポイントは獲得したものの、どの大会も「もうひとガンバリ」が足りずにライバルたちに徐々に差をつけられていき、最終的には245ポイントで8位と、出場した上位3選手には水をあけられる結果となりました。
177cmという長身から繰り出される強力なドライブは破壊力十分。柔らかい手首を活かしたバックハンドからのショットも大きな武器です。中でも21-22シーズン当時のT.T彩たま監督だった坂本氏に「日本でもトップスリーに入る」と評された、精度の高いチキータは、数々の重要な場面で「決め球」として機能してきました。飛躍に必要な素地は十分に整っているのに、あと一歩、何かが足りない。この現状を一番歯痒く感じているのは曽根選手本人でしょう。
21-22シーズンに、岸川聖也選手のラケットを参考にラバーを変更したことで、シングルスで11勝という好成績を残しましたが、このような、ほんのちょっとしたきっかけさえあれば、大躍進も夢ではありません。そのちょっとしたきっかけは曽根選手自身が発見するしかありません。今シーズンも大車輪の活躍が期待される曽根選手には数多くの出場機会が与えられることでしょう。厳しい試合の中で、勝敗を分けるようなギリギリの場面を数多く体験することこそが新しい気付きに繋がります。曽根選手の今シーズンの活躍と、その後の飛躍を期待して応援していきましょう。
曽根翔(そね・かける)
2002年12月1日兵庫県生まれ。愛工大学名電中学、高校を経て愛工大に進学するもT.T彩たまでの戦いに専念するため2022年6月中退。戦型は右シェーク攻撃型でバックハンドからの多彩な攻撃が特長。特にチキータは日本でも三指に入るとされている。
(文・江良与一)