【ツギクルTリーガー】一度跳ね返された壁に挑む 鈴木颯


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【ツギクルTリーガー】一度跳ね返された壁に挑む 鈴木颯


ノジマTリーグ2024-25シーズン第二節は「九州シリーズ」。男子は沖縄で琉球アスティーダ(以下琉球A)が金沢ポート木下マイスター東京(以下KM東京)を迎え撃ち、女子は九州アスティーダが福岡県で日本ペイントマレッツ日本生命レッドエルフ(以下日生RE)と対戦します。張本智和篠塚大登(両名ともに琉球A)、早田ひな(日生RE)のオリンピック出場選手たちの凱旋試合となるかもしれない九州シリーズ、熱戦を期待しましょう。

さて、今回は琉球Aに今シーズンから加入する鈴木颯(すずき・はやて)選手を紹介いたします。鈴木選手は2004年4月に岩手県で誕生しました。3人の兄が全て卓球選手という環境の中、4歳で地元の鈴木卓球に入団し、卓球選手としての人生をスタートさせました。その成長はめざましく、2014年の全日本卓球選手権カブの部男子シングルスで優勝、2016年の同大会ではホープスの部男子シングルスで優勝と「天才卓球少年」の名をほしいままにします。小学校卒業後はより良い環境を求めて、全国に名を轟かす強豪、愛知県の愛工大名電中学に進学。2019年の全国中学校卓球大会男子シングルスでの準優勝をはじめ、国内外の数々の大会で好成績を収めます。高校はそのまま待ち上がりで愛工大名電高校に進学。2021年の全日本卓球選手権ジュニアの部男子シングルスに準優勝すると、2021-22シーズン途中からKM東京に入団し、現役高校生のままTリーグデビューを果たします。

しかし、それまで順調な足取りで成長してきた鈴木選手にとって、このTリーグ参戦は初めての大きな挫折となりました。当時のKM東京は水谷隼、張本智和ら日本のトップを走る錚々たるメンバーが揃っており、試合に出ることすら難しい状況でした。なんとかシングルス1試合だけに出場したものの、中学、高校の先輩である濵田一輝選手(当時琉球A、現静岡ジェード)に力負けし、シーズン終了後に契約が更新されることなく、Tリーグからの撤退を余儀なくされました。

この挫折を挫折のままでは終わらせなかったのが鈴木選手の強さです。2022年のインターハイでは男子シングルス、ダブルスで優勝し愛工大名電高を学校対抗での優勝に導きます。また同年にはドイツに渡り、ブンデスリーガ2部のケルンでプレー、翌年には愛梨工業大学進学とともにブンデスリーガ1部の強豪オクセンハウゼンでプレーしました。海外での武者修行で技術的にも精神的にも一回り大きくなった鈴木選手は2023年のインカレでの愛知工業大学の優勝に中心選手として大きく貢献しました。そしてその活躍が認められ、覇権奪回を目指す琉球Aに入団し、Tリーグ復帰を果たしました。張本、篠塚のオリンピック出場組をはじめ、強力なメンバーが揃う琉球Aですが、様々な経験を経てグレードアップした鈴木選手は「前回」と同じ失敗はおかさないはずです。

鈴木選手の戦型はオーソドックスな右シェークドライブ型で、切れ味の鋭いサーブで相手を崩し、前中陣での素早い攻撃を連続させて圧倒するというのがプレーの特色です。特に変化の大きなサーブは大きな武器で、サービスエースを奪う場面も数多くみられます。前中陣での速攻を可能にする、反応の速さと巧みなフットワークも持ち味です。

一度挫折したTリーグという舞台に再び舞い戻ってきた鈴木選手には、心中期するものがあるはずです。鈴木選手が数多くの試合に出場し、勝利する姿を期待しましょう。


鈴木颯(すずき・はやて)
2004年4月15日岩手県生まれ。愛工大名電中学、高校を経て、現在愛知工業大学在学中。2021-22シーズンにKM東京に在籍するもこのシーズン限りで退団。その後ドイツブンデスリーガ2部ケルン、同1部オクセンハウゼンでのプレーを経て、今シーズンより琉球AでTリーグに復帰。戦型は右シェークドライブ型で、切れ味の鋭いサーブと前中陣での素早い打点での攻撃が特徴。


(文・江良与一)

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