【ツギクルTリーガーの通信簿】日本の「エースのカスミ」襲名を目指して奮闘中 木村香純
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ノジマTリーグ2024-25シーズン第2節が8月31日、9月1日の両日に行われ、オリンピック代表の琉球アスティーダの張本智和、篠塚大登両選手が凱旋出場した一方で、日本生命レッドエルフ(以下日生RE)の早田ひな選手は開幕戦に続いて欠場となりました。怪我の影響が長引いているのでしょうか。少々心配ですが、焦らずに完治させて欲しいものです。
さて、今回の通信簿は、トップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)の主力として奮闘中の木村香純(きむら・かすみ)選手を紹介いたします。
木村選手は専修大学在学中の2020-21シーズンに木下アビエル神奈川(以下KA神奈川)に入団し、Tリーグに参入しました。デビュー戦で早田ひな選手をゲームスコア3-0で下すという華々しいスタートを切ったものの、その後はTリーグの高い壁に跳ね返される日々が続き、KA神奈川での2シーズン通算成績はシングルス11勝12敗、ダブルス1勝11敗に終わりました。雪辱を期して2022-23シーズンにはTOP名古屋に移籍しましたが、そのシーズンも出場はシングルス2試合のみで、2戦とも敗戦に終わりました。
ようやくその実力を発揮し始めたと言えるのが2023-24シーズン。シングルスは2勝5敗と苦戦しましたが、南波侑里香選手とペアを組んだダブルスでは8勝6敗と勝ち越し。その8勝の中には、オリンピック代表の張本美和・木原美悠ペアを破った勝利も含まれており、TOPの「エースのカスミ」にステップアップしたことを示しました。また2024年1月に行われた全日本卓球選手権大会女子シングルスでは、インターハイ王者でもある青木咲智選手、牧野里菜選手のTリーガーを撃破し、6回戦では伊藤美誠選手(前日生RE)を下してベスト8に進出しました。伊藤選手との試合はフルセットにもつれ込む大激戦でした。ゲームカウント1-3と追い込まれた第5ゲームを12-10の僅差で奪い返すと、その後も11-9、11−7としびれるような接戦を凌いで2ゲームを奪取し、見事な逆転勝利を収めました。
木村選手の戦型は右シェークドライブ型で、相手の苦手なコースに確実に打ち込む正確なドライブと、ミスの少ない安定したラリーが持ち味です。ショットの正確さはサーブにおいて最も威力を発揮するようで、相手が打ちにくいコースに正確に打ち込む巻き込みサーブでチャンスボールを誘って仕留める3球目攻撃が最大の武器です。伊藤選手との戦いで見せたような、最後まで勝負を諦めない精神力の強さも大きな武器です。
正確なショットと逆境にもめげない精神力の強さで、TOP名古屋の「エースのカスミ」と呼べる存在にはなりましたが、「先代」の石川佳純さんのように日本の「エースのカスミ」と呼ばれる状態にまでは、残念ながらまだまだ至っていません。木村選手は1999年生まれで早田ひな、平野美宇、伊藤美誠ら2000年生まれの「黄金世代」の選手より1年年長です。張本美和選手ら、より若い世代の選手の躍進も目立つ昨今において、「エースのカスミ」への道のりは決して平坦なものではありませんが、先述の伊藤美誠選手との戦いのようなギリギリの戦いを続け、そしてその戦いに勝利し続けることこそが、「エースのカスミ」就任への最短の道であり、また唯一の道でもあります。木村選手が若手たちの挑戦を堂々と退ける姿を期待しましょう。
木村香純(きむら・かすみ)
1999年10月24日千葉県生まれ。四天王寺羽曳が丘中学、四天王寺高校をへて専修大学在学中の2020-21シーズンにKA神奈川に入団してTリーグデビュー。2022-23シーズンよりTOP名古屋に移籍。戦型は右シェークドライブ型で、球筋を確実にコントロールした巻き込みサーブからの3球目攻撃が最大の武器。
(文・江良与一)