【ツギクルTリーガーの通信簿】ダブルスでの頂点奪取からシングルスの躍進へ 小林広夢
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ノジマTリーグ2024-25シーズンは1週間の小休止を経て10月12日から再開されます。好調な上位チームがその好調さを維持できたのかどうか、下位チームは悪い流れをリセットできたのかどうか大いに気にかかるところです。特に下位チームの巻き返しに期待したいですね。
さて、今回の通信簿は1勝3敗と苦境が続くT.T彩たまの小林広夢(こばやし・ひろむ)選手にご登場いただきます。
小林選手は2023-24シーズンにT.T彩たまに入団しました。入団早々から、主力選手としての抜擢を受け、シングルス1試合、ダブルスは16試合に出場しました。シングルスは残念ながら敗戦に終わりましたが、愛工大名電中・高校の同級生である曽根翔選手とペアを組んだダブルスでは10勝6敗の好成績を挙げました。希少な左利きである小林選手は右利きの選手と組むことの多いダブルスとは相性がいいようで、数々の大会で好成績を収めています。そこに目をつけ獲得し、ダブルスの主戦選手として起用したT.T彩たまの期待に見事に応える結果となりました。昨シーズンのT.T彩たまはシーズン5位と低迷しましたが、その中にあってきらりと光る存在だったのです。
ダブルスの好調さは、Tリーグに限ったことではありませんでした。2024年1月に行われた全日本卓球選手権大会において、日大の後輩、伊藤礼博選手とペアを組んで出場した男子ダブルスで優勝を果たしたのです。準決勝で、前回大会の準優勝ペア、及川瑞基(岡山リベッツ)・松島輝空(木下マイスター東京)組にフルセットまでもつれ込む激戦を制して勝利すると、続く決勝では前回大会覇者の張本智和(琉球アスティーダ)・森薗政崇(静岡ジェード)組に、全てのゲームが僅差という緊迫した接戦の末勝利し、見事に優勝を果たしたのです。格上と見られていた難敵を次々と撃破しての堂々たる優勝でした。
2024-25シーズンに入っても、ダブルスの好調さは継続しており、4戦して3勝1敗と上々の滑り出し。試合の構成上、ダブルスは必ず初戦に来ますが、初戦の勝利を奪うことはチームに勢いをもたらします。残念ながら、T.T彩たまは小林選手のもたらした勢いに乗ることができず、1勝3敗と苦戦続きですが、確実にポイントを稼いでおり、このポイントは後々のシーズンの順位決定に大きく影響してきます。何より勝利し続けることは、個人としての成長につながるとともにチームの中での存在感を高め、チーム全体の支えとなることにつながります。
小林選手の戦型は左シェークドライブ型で、特にフォアハンドからドライブは強烈で、しばしば決め球となります。また、投げ上げサーブやYGサーブなど、多彩なサーブを駆使することでも知られています。小林選手のサーブで相手のレシーブを崩し、返ってきたボールをペアの選手が仕留める、あるいはペアの選手のサーブから返ってきた3球目に対し小林選手が強烈なドライブを放つというパターンで勝利を積み重ねてきました。現在のダブルスの好調さを維持することができれば、シングルスでの出場機会が増えていくことでしょう。小林選手にはぜひとも、日本を代表するダブルスのスペシャリストとしての道を極めていってもらうと同時に、シングルスでもTリーグを牽引するような存在になってもらいたいと願っています。T.T彩たまの上位進出には小林選手の二刀流での活躍が不可欠です。
小林広夢(こばやし・ひろむ)
2002年9月21日東京都生まれ。愛工大名電中学・高校を経て、現在日本大学に在学中。2024年1月の全日本卓球選手権大会男子ダブルス優勝。Tリーグには2023-24シーズンより参入。戦型は左シェークドライブ型で、フォアからの強烈なドライブと多彩なサーブが武器。
(文・江良与一)