【ツギクルTリーガーの通信簿】姉妹ペアでも個人でも飛躍を目指す 小塩遥菜
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ノジマTリーグ2024-25シーズン男子は、トップを走る木下マイスター東京が金沢ポートに敗れるという波乱があり、初優勝を狙う岡山リベッツが首位に立ちました。女子は首位日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)が8連勝と勢いが止まらない一方、優勝候補と目されていた日本生命レッドエルフ(以下日生RE)はトップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)に敗れ、負けが2つ先行する苦しい展開となっています。今後の順位争いが白熱化することを期待しましょう。
さて、今回の通信簿は難敵日生REを撃破して意気上がるTOP名古屋から、小塩遥菜(おじお・はるな)選手にご登場いただきます。
小塩選手は、中学在学中の2019-20シーズンにニッペMに入団し、Tリーガーとして歩み始めました。ルーキーシーズンから主力選手としての抜擢を受け、シングルス11試合に出場するも2勝9敗と、Tリーグの手荒い洗礼を受けました。翌2020-21シーズンもシングルス8戦全敗、ダブルス2戦全敗と壁を打ち破れませんでしたが、3シーズン目の2021-22シーズンはようやくTリーグの水にも慣れたのでしょうか、シングルス6試合で4勝2敗の成績を残します。2022-23シーズンには、現在の所属チームTOP名古屋に移籍し5勝2敗と進歩の跡をうかがわせました。
しかし、飛躍を誓って臨んだ2023-24シーズンはシングルスのみ8試合の出場で4勝4敗に終わりました。カットマンというプレースタイル上、相手チームの有力選手と対戦する機会が多い中でのこの成績は健闘しているという見方もできますが、国内外の数々の試合で好成績を収めてきた小塩選手の実績を鑑みると、伸び悩んでいるという印象は否めません。
今年1月の全日本卓球選手権大会において、小塩選手は女子シングルスでは4回戦敗退と2023年の同大会よりも成績を落としてしまいましたが、妹の悠菜選手と組んだ女子ダブルスではベスト8進出という好成績を残しました。敗れた準々決勝でも古巣ニッペMの強力ペア芝田沙季・大藤沙月組と対戦し、最終的なゲームカウントこそ1-3でしたが、各ゲームとも僅差の熱戦を繰り広げ、飛躍の予兆を感じさせる大会となりました。
そんな小塩選手は今春星槎国際高校を卒業し、現在はTリーガーとしての修練に専心しています。チーム状態も個人としてのコンディションも上がってきています。さまざまな状況は飛躍のために整えられました。
しかしながら、チーム事情もあってか、今シーズンの小塩選手は出場機会に恵まれていません。10月28日現在、シングルスは出場なしで、姉妹ペアで出場したダブルスも1試合だけで、敗戦に終わっています。飛躍に向けてスタートダッシュをかけたかったであろう今シーズンは、今までのところ、肩透かしを食ってしまった状態に陥っています。
小塩選手は、卓球選手であった母親にカットマンを勧められて以降、守備力を磨くことに注力してきました。守備力を鍛える修練の日々を重ねる中では、技術のみならず、強固な忍耐力も培われてきたはずです。今後のシーズン展開を考えれば、小塩選手の活躍の機会は必ず訪れるはずですから、持ち前の忍耐力で、「その時」に備えて力を蓄えていくしかありません。
小塩選手の戦型は右シェークカット型で、基本的には粘り強く癖球を返し続けるのがプレースタイルですが、JOCアカデミー入学後は世界への挑戦を見据えて、攻撃力の強化にも取り組んできました。カット一辺倒ではないプレースタイルを確立できれば、シングルス、ダブルスともに出場機会が増え、勝利数も増えていくはずです。小塩選手個人としても、悠菜選手とのペアとしても飛躍を期待しましょう。
小塩遥菜(おじお・はるな)
2005年8月3日岐阜県生まれ。星槎中学を経て、星槎国際高校卒。2019-20シーズンにニッペMに入団。2022-23シーズンよりTOP名古屋に移籍。2024年1月の全日本卓球選手権大会では妹・悠菜選手とペアを組んだダブルスでベスト8進出。粘り強く癖球を返すカットマンスタイルが基本だが、強烈なドライブを織り交ぜるスタイルに挑戦中。
(文・江良与一)